リースバックはやめた方がいい?家賃と「住める期間」から考える

リースバックの魅力は、家を現金に替えながら、引っ越しをせずに済むことです。住み慣れた場所を離れたくない方には、気になる選択肢だと思います。
ただ、家を売って返済や資金の問題を整理しても、その後の家賃で暮らしが苦しくなっては困ります。「やめた方がいいか」は、売れる金額だけでは決められません。手元に残るお金・毎月の支払い・住める期間を、ひと続きで確かめます。
リースバックは「家を売る」と「借りて住む」の組み合わせ
自宅を買い取った相手に所有権が移り、元の所有者は借主として家賃を払います。住む場所が同じでも、自分の家から、借りている家に変わる取引です。
自宅を売却 → 代金を受け取る
所有権は買主へ。ローンがあれば返済や抵当権を外す段取りが必要です。
毎月家賃を払う → 契約に沿って住む
家賃・住める期間・修繕費など、借りる条件が暮らしを左右します。
住宅ローンが残っている場合は、提示された買取額から返済や費用を差し引いて、いくら残るかを確認します。返済に足りない場合は、不足分や借入先との調整も問題になります。ローンが残る家の売却手順はこちら。
売却価格が高くても、家賃まで高ければ負担は残る
買い取る会社は、家を所有して貸すことで家賃収入を得ます。購入費、維持や修繕の負担、将来売却するときの見通しなどを考え、採算の合う条件を組み立てます。家を売る人への資金援助ではなく、不動産を買って運用する事業です。
そのため、一般の買い手を探す仲介売却より、提示される価格が低くなることがあります。家賃も、近隣の貸家相場だけでなく、買い取る金額や事業者の収益の考え方が関わります。値付けや条件は会社によって異なります。
「高く買ってくれるから安心」とは、まだ判断できません。受け取る金額と、その条件で払う家賃を並べ、通常の売却ならどうなるかも比べます。買取価格が相場の何割かという一律の目安だけでは、ご自身の条件がよいかは分かりません。
ローンがなくなることと、毎月の暮らしが楽になることは別
当社に寄せられた相談では、月5万円のローン返済が、売却後は月8万円の家賃に変わる契約がありました。
- それまでのローン返済
- 月5万円
- 売却後の家賃
- 月8万円
- 返済・諸経費後に残る見込み
- 約360万円
- 住める期間
- 2年間の定期借家契約
相談当時の、この契約の条件です。現在の一般的な価格・家賃・契約期間の目安ではありません。
まとまったお金は残るものの、収入の見通しが立たないままなら、そのお金から家賃や生活費を出し続けることになります。家賃を払えなくなったときには、家はすでに自分のものではありません。もう一度その家を売って、資金をつくることもできません。
なお、月5万円と月8万円の差だけで、住居費全体を比べることもできません。所有していたときの税金や修繕、借りた後に負担する費用も加え、同じ範囲で計算します。そのうえで、収入から家賃と生活費を払えるか。貯金を取り崩すなら、どの程度のペースになるかを見ます。
→ この相談はどうなった?リースバックの契約を見直した経緯を読む
「ずっと住める」かは、借りる契約の種類と内容で変わる
毎月の家賃を払えることに加え、希望する期間、契約を続けられるかも重要です。
貸主が更新を拒むには、正当事由などの要件があります。ただし、家賃滞納などによる契約解除の問題は別です。
期間満了で終了し、更新はありません。引き続き住むには再契約が必要で、双方の合意が要ります。
「再契約する予定です」という説明だけで、何年でも住み続けられると考えないことです。再契約の条件、再契約しない場合の退去時期、そのときの転居先まで確認します。買い取った会社が家を第三者へ売る可能性と、その場合の賃貸借への影響も、説明してもらう項目です。
一方、施設への入居や住み替えまでの間など、住み続けたい期間と、その後の行き先がある程度見えている場合は、リースバックを比較する意味があります。国土交通省のガイドブックにも、施設入居を待つ間の利用例が紹介されています。通常の売却で引渡し時期を調整する方法などとも比べ、自分の予定に合うかを考えます。
売買契約を結ぶ前に、借りる条件も一緒に確認する
売却の話だけ先に決め、家賃や住める期間は後から詰める。その順番では、家を売る判断に必要な条件がそろいません。売買と賃貸借、両方の契約案を並べて確認します。
- 売却代金と手取り
- 価格の根拠、ローン返済、諸費用を引いた残り。通常の売却の見込みとも比較します。
- 毎月払う金額
- 家賃、管理費等、値上げに関する条項。今後の収入や生活費と合わせて確認します。
- 住める期間
- 普通借家か定期借家か、契約期間、更新・再契約の条件、中途解約や退去時の条件。
- 修繕などの負担
- 給湯器が壊れたら誰が直すか。修繕、設備の交換、原状回復等の費用負担を確認します。
- 買戻し・契約解除
- 買戻しの約束があるか、価格・期限・必要資金。売買をやめる場合の手付解除や違約金の条件も確認します。
買戻しは、どの契約にも当然についている権利ではありません。売った価格と同額で買い戻せるとも限りません。約束の内容と、期限までに資金を用意できるかを、契約前に確かめます。
2026年10月の国のガイドラインでは、何が整理された?
国土交通省は、2026年10月1日施行のガイドラインで、売買と賃貸借が一体となる住宅リースバックについて、家賃・契約期間・修繕負担などの賃貸借条件も、売却の判断に重要な事項であると明確にしています。
価格や家賃の算定根拠、受け取る代金と支払う家賃の関係を説明することは、「対応することが望ましい事項」とされています。これらがすべて同じ法的義務という整理ではありません。説明を受けても、ご自身の収支や居住予定に合うかの確認は必要です。
勧められたときと、契約した後では、相談の急ぎ方が違う
「なぜ今お金が必要か」「いつまで今の家に住みたいか」を伺い、通常の売却価格やローン残高と、提示条件を比べます。返済が苦しい場合は、借入先への相談も並行します。
売買と賃貸借の両方を、家族や取引相手以外の専門家にも見てもらいます。ご自身で項目を判断し切れなくても、契約案があれば、不動産会社が確認を進める手がかりになります。
契約書や受け取った説明、やり取りを残し、消費生活センターや弁護士へ早めに相談します。引渡し後まで待たず、手付解除の可否・期限、違約金などを確認してもらいます。
自宅を不動産業者に売る契約では、宅地建物取引業法のクーリング・オフは使えません。ただし、解約や取消しの可能性は、契約内容や勧誘の経緯で変わります。「もう絶対にやめられない」「必ず違約金がかかる」と自分だけで決めず、早く相談することが大切です。
春日井市の方は、春日井市の消費生活相談窓口でも相談できます。消費者ホットラインは188です。

当社では、通常の仲介・買取ならどのくらいの価格が見込めるか、返済や費用を引くとどうなるかを整理し、売り方の比較をご相談いただけます。契約の解約や取消しが問題になる場合は、弁護士などの専門家と役割を分けて対応します。
確認日:2026年10月22日。制度・契約条件は個別に確認が必要です。吹き出しは説明のための架空の会話です。相談事例の金額は相談当時の条件です。
主な確認資料

