検査済証が見つからない。家を売るとき、何が問題になる?

家を建てたときの書類を、売主さんがすべて把握しているとは限りません。不動産会社が売却の準備で確認し、何が残っていて、何が足りないのかを整理していきます。
当社の売却相談でも、古い建物は、確認済証が残っていればよい方で、検査済証までそろっているケースは多くありません。そもそも完了検査を受けておらず、検査済証が交付されていない場合もあります。「手元にないから、どこかでなくしたのだろう」とは限らないのです。
だからこそ、まず2つの書類の違いを押さえ、交付の記録と建物の状況を確認します。検査済証がないだけで売却を諦める必要はありませんが、買主の住宅ローンやリフォーム計画に関わることがあります。この記事では、何が問題になるのか、どう確認して売却を進めるのかを説明します。
まず、確認済証と検査済証は別の書類です
どちらも、建物と建築基準法との関係を確認する書類ですが、発行される段階が違います。
確認済証は、工事前の建築計画が、建築基準関係規定に適合すると確認されたことを示します。検査済証は、完成した建物が完了検査を受け、その検査で適合すると認められたことを示します。確認済証があるだけでは、完了検査まで受けたとは分かりません。
なお、検査済証は、現在も不具合がないことや、後から行った増築・改修まで適法であることを保証する書類ではありません。権利証とも別物です。権利証は、売却時の所有権移転登記などに関わります。
「手元にない」と「交付されていない」は、分けて確認します
原本を紛失した可能性があります。交付記録を示す証明書など、取得できる資料を確認します。
検査を受けていないのか、記録が残っていないのか。建築時の資料や履歴も含め、確認できる範囲を調べます。
検査済証そのものは、原則として再発行されません。行政などに記録が残っていれば、台帳記載事項証明書などで交付の事実を確認できる場合があります。ただし、保管状況や証明できる内容は窓口によって異なります。記録を証明する書類は、検査済証の再発行でも、今の建物の適法性を保証する書類でもありません。
春日井市の物件では、建築指導課や当時の確認・検査を行った機関などを確認先とし、残っている記録や取得できる資料を調べます。記録が見つからないことだけで、直ちに「検査を受けていない」「違法な建物」と決めつけることはできません。
そして、どちらの場合も必要なのが、資料と現況が合っているかの確認です。後から部屋や車庫を増やしていないか、図面と違う部分がないか。登記されている増築でも、それだけで建築基準法上の手続きまで済んでいるとは限りません。
買主が「どう使うか」で、売却への影響が変わります
「検査済証がない家は、いくら安くなるのか」と一律には言えません。買主が使う住宅ローンや、購入後に行いたい工事によって、確認事項や負担が変わるからです。
金融機関・商品によって、必要書類や建物の審査が異なります。検査済証がないだけで全金融機関が融資不可になるわけではありませんが、資料の追加や、利用できる商品の制限が生じることがあります。買主の資金計画が固まる前に確認します。
買って、大きくリフォームする予定する工事に建築確認が必要か、その建物で工事を進められるかが問題になります。記録・現況の調査や追加の工事に、費用と時間がかかる場合があります。
建物を解体して、建て替える今の建物を使う場合とは確認の重点が変わります。ただし、解体すれば同じ規模の家が建つとは限りません。道路や敷地の条件など、再建築できるかは別に確認が必要です。
→ 土地を買う前に確認したい、道路と建築の関係
→ 古い家は、売る前に解体した方がいい?

2025年4月からは、木造2階建て住宅などの「大規模の修繕・模様替」にも、原則として建築確認が必要になりました。目安となるのは工事金額ではなく、壁・柱・床・はり・屋根・階段という主要構造部の、一種類以上について過半を改修するかどうかです。
キッチンや浴室の設備交換、屋根材や外壁の仕上げだけの改修などは、この大規模の修繕・模様替には通常当たりません。一方、階段や構造部分を大きく変える工事は、建築士による工事内容の確認が必要です。「リフォームできる」と一言で済ませず、何をする予定かまで見ておきます。
調査で確認できることにも、限界があります
検査済証のない建物などについては、建築士が既存建築物の現況を調査する国のガイドラインがあります。建築時の適法性や現在の状況を調べ、増改築などの建築確認に必要な資料として活用するものです。
この調査をすれば、昔の検査済証が新しくもらえるわけではありません。適合を確認できない部分が残ったり、工事内容の変更や是正が必要になったりすることもあります。また、一般的な住宅のインスペクションは劣化状況などを調べるもので、建築基準法への適合をすべて確認する調査の代わりにはなりません。
建築当時は適法でも、その後の法改正で現在の基準に合わなくなった「既存不適格」と、必要な手続きをせず増築した場合などの「違反」は、同じ扱いではありません。書類の有無だけで判断せず、必要に応じて建築士や行政に確認します。
売却前は、不動産会社が書類と建物の状況を整理します
- 手元にある書類と、建てた後の履歴を確認
確認済証、図面、検査済証などを不動産会社が確認します。増築や大きな改修について、分かる範囲で伺います。 - 交付記録と、実際の建物を照合
行政などの資料も調べ、何が確認できて、どこが分からないのかを整理します。 - 必要な場合は、建築士・金融機関と確認
買主の利用目的も踏まえて、追加調査の範囲や費用、所要時間を確認します。調査を頼む前に、誰が何を負担するかも相談します。 - 分かったことと未確認事項を、買主に説明
渡せる資料や調査結果、残る課題を伝え、売買条件と契約内容を調整します。
売主さんにお願いしたいのは、すべての手続きを自分で調べて済ませることではありません。「書類があるか分からない」「増築したことは覚えている」など、今分かっていることを伝えていただくことです。確認の順番や、専門家への依頼が必要かは、こちらからご案内します。
検査済証がないことを隠して売るのではなく、何が分かっていて、何が分からないかを整理する。そのうえで買主が判断できる状態をつくることが、売却を進めるために必要です。
→ 春日井シティ不動産の売却相談について
→ 売却にかかる費用と、手元に残るお金の考え方
→ 買主が重要事項説明で確認すること
制度の確認:2026年10月21日。建物の用途・規模・建築時期・工事内容によって、必要な調査や手続きは異なります。
参考:国土交通省「既存建築物の活用・現況調査ガイドライン」/国土交通省「木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続」/春日井市「建築確認・検査関係様式」/小平市「建築確認台帳記載事項証明」(再発行と記録証明の違いを参照。春日井市の窓口手続きとは異なります。)

