雨漏りする家は売れる?直す・そのまま売る・解体する前の判断

雨漏りがある家も、状態や条件を踏まえて売却を検討できます。ただし、修理すれば、その費用を上乗せして売れるとは限りません。反対に、雨漏りだけを理由に、まだ使える家を先に解体する必要があるとも限りません。

被害を広げない応急対応は先に。本格的な修理や解体は、建物の状態・買主の使い方・費用を差し引いた手取りを比べて決めます。直した後に再発していない家の伝え方も、後半で整理します。
まず、今の雨漏りと過去の修理を分けて考える
応急対応と原因の確認へ。天井の内装だけ直しても、雨水の入口が残れば再発するおそれがあります。
いつ・どこを・どう直したか、その後の再発の有無を整理。過去に漏れた事実を「なかったこと」にはしません。
親の代の修理、空き家で雨の日の様子が不明など。分かっていることと未確認のことを分けます。
天井のしみだけで、雨漏りと断定できない場合もあります。配管からの漏水や結露の可能性もあるため、発生した場所・天候・時期と、専門業者の調査を照らします。雨の日にしか分からない症状もあり、晴れた日の内見で乾いているだけでは、解決済みとは判断できません。
いま水が入っているときは、売却の検討と並行して被害を抑える対応が必要です。高所に上がる作業や、電気設備に水が及ぶ場合は無理をせず、専門業者へ対応を依頼します。
直す・そのまま売る・解体する。買主の使い方で判断は変わる
この3つは、必ず売主が工事を先に済ませてから売り出す、という意味ではありません。古家付きで売り出し、買主が決まってから解体する条件を定めるなど、売買契約と工事の順番を組み合わせる方法もあります。
売却代金 − 修理・解体費 − 売却の諸費用
+ 工事と販売にかかる期間も確認
本格的な修理を先に発注する前に、不動産会社に現況での売却見込みと、直した場合の見込みを出してもらいます。屋根だけでなく、内部の腐食など修理が広がる可能性も含めて、専門業者の見積りと比べます。住宅として売るのか、建替え用地として売るのかが違えば、かける費用の判断も変わります。
解体を先にしない方がよい場合と、土地の固定資産税への影響 →
工事費も含めた売却の手取りを整理する →
調査・応急処置・本修理は、同じではない
雨水の入口と経路、傷んだ範囲を確認する。
応急処置で当面の浸入や被害の拡大を抑える。
本修理の要否と範囲を、売却条件と一緒に決める。
被害が進行中なら、原因調査と応急対応を並行するなど、状況に応じて順番は変わります。
「業者に直してもらった」という言葉だけでは、原因を取り除く工事か、当面止めるための処置かは分かりません。見積書・工事報告・写真があれば、内容を確認する手がかりになります。資料がないときは、記憶の範囲と未確認の点を伺うところから始めます。
建物状況調査(インスペクション)は、構造や雨水の浸入を防ぐ部分の劣化事象を、目視・計測などで確認するものです。調査を受ければ雨漏りの原因がすべて特定できる、将来も再発しないと保証される、というものではありません。散水などによる原因調査や修理の見積りが必要かは、症状に応じて検討します。
台風で屋根が壊れたことによる損害と、経年劣化や元からあった隙間から雨が入る場合では、保険の扱いが違います。「大雨の日に漏れたから保険で全額直せる」とは判断せず、事故の原因・契約内容・免責金額を保険会社や代理店に確認します。
損保ジャパン:雨漏りの補償に関するFAQ。同社商品の説明例です。個別の支払いは加入契約に基づき判断されます。
直して今は漏れていなくても、過去の経緯を告知書へ
売却を依頼すると、不動産会社が建物の不具合や修理の履歴を伺い、告知書(物件状況等報告書などと呼ばれます)の内容を整理します。「今は漏れていない」と「これまで雨漏りしたことがない」は、別の情報です。修理済みだから一切話さなくてよいと自己判断せず、過去の経緯も担当者にお伝えください。
| 発生したこと | 時期、場所、どんな雨・風のときだったか。分からない点は推測で埋めない。 |
|---|---|
| 行った工事 | 時期、施工業者、工事の内容。応急処置か本修理か、説明された内容も確認。 |
| 工事後の状態 | いつまで住んでいたか、その間に再発を確認したか。空き家で把握できていない期間も伝える。 |
| 残っている資料 | 見積書・請求書・工事報告・写真・保証書など。ない場合は、ないことを前提に確認を進める。 |
架空の記載例/実際は使用する書式に合わせて整理
2021年頃、2階南側洋室の天井から雨漏り。2021年10月にA社が屋根の一部を補修。請求書・工事写真あり。2025年3月まで居住し、その間は再発を確認していない。以降は空き家で、降雨時の室内の状態は未確認。
事実として確認できた範囲を書く例です。「完全に直った」「絶対に再発しない」という保証に置き換えません。

修理済みの雨漏りについて、説明義務や責任がどう判断されるかは、修理の内容・再発・売買時の説明や契約条件などで変わります。裁判例にも異なる結論があり、過去に漏れたら必ず契約解除になる、修理済みなら一切責任がない、という一律の説明はできません。ここで勧めているのは、売主が知っている事実を先に共有し、事実と違う説明を避ける進め方です。
全日本不動産協会が紹介する東京地裁2020年2月26日判決では、修理済みと聞いていた雨漏り歴を売主業者が隠し、「発見していない」と伝えたことについて賠償責任が認められました。一方、別の修理済み事例で説明義務が否定された例もあります。いずれも個別事情と改正前民法の事案であり、すべての取引にそのまま当てはめるものではありません。
全日本不動産協会:雨漏り歴を隠した中古マンションの裁判例 →
不動産流通推進センター:修繕済みの不具合に関する説明義務の考え方 →
「そのまま売る」と、責任を負わないことは別
現況で引き渡すというだけで、雨漏りに関する売主の責任が自動的になくなるわけではありません。買主が認識して購入する建物の状態、誰が何を直すか、引渡し後の責任の範囲・期間を、告知内容と売買契約で整合させます。
修理を約束する場合も、「雨漏りを直す」という一言で済ませず、工事内容、完了時期、工事の確認方法などを決めます。契約後や引渡し前に再発・新しい症状が出た場合は、担当する不動産会社に連絡し、買主への説明と対応を調整します。争いがある場合や責任の判断が難しい場合は、弁護士等への確認が必要です。
売主は、修理を終えてから相談しなくて大丈夫
最初は「今も漏れる」「前に直した」「親からそう聞いた」と、分かる範囲でお知らせください。不動産会社が経緯と現地を確認し、必要な専門調査や見積りを整理します。原因調査をどこまで行うか、本修理をするか、現況の条件で買主を探すかを、売却見込みと費用から一緒に決めていきます。
当社では、春日井市の家の状態と売却のご事情を伺い、工事を先に進める前の売り方から検討します。買取も比較する場合は、現況での仲介の見込みと、買取の条件を分けてご案内します。修理履歴や資料が不明でも、その状況からご相談いただけます。
売却相談・査定で確認すること →
雨漏りや修理履歴のある家の売却について相談する →
資料確認:2026年10月22日。戸建ての売主に向けた一般的な判断材料です。会話・記載例は説明用の架空のものです。建物の状態、工事、保険、契約条件は個別に確認します。

