春日井市で土地を事業者に貸すには?事業用定期借地の条件と費用
「土地は売りたくない。でも、使わないまま持ち続けるのも負担になる」。そんなとき、事業者に土地を貸し、借り手が店舗などを建てて使う方法があります。事業用定期借地は、そのための契約の一つです。

借り手を探す前に、3つを確認
事業用定期借地は「土地」を貸す契約
ここで扱うのは、居住用を除く、専ら事業用の建物を所有するための借地です。建物を所有する目的のない青空駐車場や資材置場の土地賃貸借とは、契約の扱いを分けて考えます。また、土地の所有者が建物を建てて貸す「建て貸し」とも異なります。
契約期間は10年以上50年未満。設定契約は公正証書で行います。期間によって法律上の扱いが違うため、「定期借地」と書けば足りるわけではありません。
| 契約期間 | 更新・建物買取請求などの扱い |
|---|---|
| 10年以上 30年未満 | 更新・建物再築による期間延長・建物買取請求に関する規定は適用されません。 |
| 30年以上 50年未満 | 更新しない・再築による期間延長がない・建物買取請求をしない旨の特約を定めます。 |
期間ごとの違い:日本公証人連合会の解説 →
事業用定期借地権の全体像:国土交通省の解説 →
01|道路沿いでも、建てられるとは限らない
最初に、考えている業種・建物・敷地の使い方が、その土地で実現できるかを調べます。特に確認したいのは次の点です。
- 用途地域・市街化調整区域など:予定する店舗や施設を建てられるか。農地なら転用の可否と手続きも確認します。
- 道路・出入口:建築に必要な道路条件に加え、お客様や搬入車が安全に出入りできるか。中央分離帯や歩道も確認します。
- 敷地全体の配置:建物だけでなく、駐車場、車の通路、荷物の搬入場所まで収まるか。
- 工事の条件:高低差、排水、上下水道、既存建物など。何を整備する必要があるか。
春日井市は、市街化調整区域の開発許可について、申請前の事前相談を案内しています。周りに店があるから、自分の土地にも同じ物が建つとは判断できません。計画と資料をもとに確認します。
春日井市の開発許可・事前相談の案内 →
道路の種類・接道・私道について知る →
02|借り手の業種と、土地の使い方
借り手の候補には、次のような業種が考えられます。まずはその場所で、誰が、どう使う建物になりそうかを想像すると、調べる条件が具体的になります。
| 業種の例 | 候補にする前に見る条件 |
|---|---|
| 小売店 コンビニ・ドラッグストアなど | 店の見つけやすさ、来店客の範囲、車の出入り、駐車場の配置。周辺の競合や、その会社の出店計画も確認。 |
| 飲食店 レストラン・カフェなど | 車や徒歩での来店動線、駐車場、給排水、排気や臭いへの対応。営業時間と近隣への影響も確認。 |
| 診療所 歯科・内科など | 周辺の人口や医療機関、通院のしやすさ、駐車・送迎の場所。診療科や開業する医師の計画によって必要な条件が変わる。 |
| 事務所・営業所 | 従業員の通勤、来客用・営業車用の駐車場、事業で使う範囲と必要な建物の大きさ。 |
| 倉庫・工場 | 搬入車が通れる道路、敷地内での切り返しや荷下ろし、作業音・振動、周辺環境。その用途を認める法令上の条件。 |
これは借り手を探す際の候補例です。春日井市で現在これらすべての出店希望がある、という意味ではありません。住居を兼ねる診療所や店舗など、居住用部分を含む計画は、事業用定期借地とは別の契約方式を検討します。
例えば、車が出入りしやすく駐車場を取れる道路沿いなら、小売店や飲食店から検討する。住宅地に近い場所なら、診療所などの利用可能性を調べる。大型車が入りやすい場所なら、倉庫等の条件を確認する。土地の特徴から候補を挙げ、法令と実際の需要で絞り込みます。
同じ300坪でも、奥に細長い土地と、道路に広く面した土地では配置の考え方が変わります。「この業種なら何坪」と一律には決められません。
実際の募集例を見ると、規模の違いが分かります。
すかいらーくのガスト・バーミヤン・しゃぶ葉・夢庵のロードサイド募集例では、建坪80~100坪程度、敷地450坪以上が示されています。これはその会社・出店形態の募集条件で、飲食店全般に必要な広さではありません。
すかいらーくの出店物件募集を見る →
一方、セブン‐イレブンは必要な土地面積はマーケットの規模によって変わるとし、形状・交通量・近隣施設を調査して賃貸借の可否を審査すると案内しています。面積が募集条件に合っても、それだけで出店が決まるわけではありません。
セブン‐イレブンの土地賃貸借案内 →
診療所の事業用定期借地の活用例:日医リース →
土地を紹介するときは、所在地と面積に加え、間口、出入口の位置、道路の状況、建築条件、希望地代、貸せる期間を揃えます。事業者の出店計画と合うかを確かめるためです。
03|地代と一緒に、負担と出口を決める

- 最初の費用:測量、解体、造成、引込み工事、公正証書など。必要な作業と負担者を明確にします。
- 貸している間:税金や合意した維持管理の負担を、地代収入と並べて確認。地代を見直す条件も検討します。
- 途中で撤退したとき:中途解約の条件、地代の精算、建物や設備の扱い、保証金・保証の範囲を定めます。
- 期間が終わるとき:建物・舗装・基礎などの撤去範囲、費用、返還期限、履行の確保を確認します。
契約が終わることと、実際に片付いて返ってくることは別です。
期間満了時に建物を取り壊して返還することが原則ですが、相手が倒産したり約束が履行されなかったりする問題は残ります。「定期借地だから安心」で済ませず、返還条件とその備えまで契約で詰めます。
その期間中に、相続や家族の利用予定が重なる可能性もあります。「今は使わない」だけでなく、長期間、自分の都合で自由に使い方を変えられないことを踏まえて判断します。
相談は、住所・資料・将来の予定から
最初から建築プランや希望の業種を決め切る必要はありません。まず、次の3つを用意すると話が進みます。
- 場所と今の状態:所在地、分かる範囲の面積、建物の有無、現在の使い方。
- 手元の資料:公図、測量図、登記関係、固定資産税の明細など。あるものだけで構いません。
- 所有者・家族の予定:いつから何年程度貸せるか、将来使う・売る可能性、最初に負担できる費用。
貸す条件を決める前に、土地の制約と借り手の見込みを調べます。条件が合わなければ、駐車場など別の使い方や、管理を続ける方法、売却も含めて比べます。

