媒介契約はどれを選ぶ?一般・専任・専属専任の違いと、依頼前の確認
売却を頼むときに出てくる「一般」「専任」「専属専任」。違うのは、何社に依頼できるか、自分で買主を見つけた場合の扱い、報告や情報登録のルールです。名前の違いを知ったうえで、誰に何を任せるかを決めましょう。

媒介契約は「売却を頼む契約」。家を売る契約とは別です。
媒介契約は、売主と不動産会社との約束です。販売活動や条件交渉などを依頼し、売出し価格、契約期間、仲介手数料などを決めます。買主と結ぶ「売買契約」とは別の契約です。
一般・専任・専属専任は、ここが違います。
一般媒介
- 依頼する会社
- 複数社に頼める
- 自分で見つけた買主
- 直接契約できる
- 定期的な業務報告
- 法定の頻度はない
- レインズへの登録
- 法定の登録義務はない
専任媒介
- 依頼する会社
- 1社に頼む
- 自分で見つけた買主
- 直接契約できる
- 定期的な業務報告
- 2週間に1回以上
- レインズへの登録
- 契約後7日以内
専属専任媒介
- 依頼する会社
- 1社に頼む
- 自分で見つけた買主
- 依頼した会社を通す
- 定期的な業務報告
- 1週間に1回以上
- レインズへの登録
- 契約後5日以内
登録日数は、不動産会社の休業日を除いて数えます。一般媒介でも、レインズへの登録や定期報告を取り決めることはできます。表は定期的な業務報告の違いで、購入申込みがあった場合の報告とは別です。
「自分で見つけた買主」とは、不動産会社から紹介された人を除きます。専任媒介で直接契約する場合も会社への通知や活動費用の精算が必要になることがあるため、買主に心当たりがあるなら契約前に伝えておきましょう。
1社に任せても、他社の買主に紹介できます。
レインズは、不動産会社同士が物件情報を共有する仕組みです。専任・専属専任の「1社」は、売主が依頼する窓口の数。買主を探す会社を1社に限る、という意味ではありません。
売主 → 依頼した不動産会社
そこから、買主を探す経路を広げる
① その会社が直接紹介する購入希望者
② レインズなどを通じて、他社から紹介される購入希望者
ただし、登録しただけで紹介や成約が保証されるわけではありません。依頼前に「他社からの見学依頼にはどう対応しますか」と確認し、依頼後はレインズの登録証明書も受け取りましょう。専任・専属専任では、証明書の案内から売主専用画面で登録内容や取引状況を確認できます。
不動産会社が専任を望むのは、報酬の仕組みと関係があります。
売却の仲介は、原則として売買契約の成立によって仲介手数料が発生する仕事です。物件の調査や広告、問合せへの対応には、成約する前から手間と費用がかかります。一般媒介で別の会社が取引をまとめ、自社が仲介に関わらなければ、その販売活動が報酬につながらないこともあります。
専任・専属専任なら、売主側の依頼窓口が自社にまとまります。他社が買主を紹介する場合も、自社は売主側の仲介を担当するため、成約したときの報酬の見通しを立てやすくなります。会社が専任を望む背景には、この経営上の事情があります。ただし、専任を受けても売れなければ、成約による報酬が得られるわけではありません。
窓口をまとめることは、売主の事情を把握し、販売計画を立て、条件交渉を進めるうえでも利点があります。一方、会社にとって都合がよい契約だからといって、売主にとっても必ずよい結果になるとは限りません。何をしてもらえるのかまで確認する必要があります。
囲い込みをする会社があることも、現実です。
売主を担当する会社が、自社で買主も見つけて双方の仲介をすれば、売主と買主の両方から仲介手数料を受け取る場合があります。これが「両手仲介」です。他社が買主を紹介する場合、通常は売主側の会社が売主から、買主側の会社が買主から、それぞれ手数料を受け取ります。
この違いから、自社で買主を見つけることを優先し、他社からの紹介を妨げる会社があるのも事実です。例えば、売主が頼んでいないのにレインズを「売主都合で一時紹介停止中」にするなど、売主の意向に反して買主と出会う機会を狭める行為が囲い込みです。国土交通省も、この問題を売主向けに案内しています。
両手仲介であること自体が、囲い込みを意味するわけではありません。問題は、会社が自社の報酬を優先して紹介を妨げ、売主がよりよい条件で売る機会を損なうことです。会社の利益を求めることと、売主の利益を損なうことは分けて考えなければなりません。
契約の種類と、会社の仕事ぶりは分けて考える。
不動産会社の中には、囲い込みへの不安を理由に、「専任ではなく、一般媒介にしましょう」と勧める会社もあります。ただ、その説明だけで、売主のためにどんな販売活動をしてくれるのかまでは判断できません。一般媒介を選ぶことと、売主のために販売活動をする会社を選ぶことは、別の話です。
専任か一般かという名前だけで安心せず、他社からの問合せや見学依頼にどう対応し、その状況を売主にどう伝えているかを確認する必要があります。
春日井シティ不動産の考え方
当社は、他社からの購入希望者の紹介も受けています。一般・専任のどちらでも、売主の事情と物件の条件に合わせて販売方法を考えます。
反響が鈍いときには、広告の見せ方、他社への紹介、競合物件の動きを確認し、価格も含めて次の進め方を話し合います。契約の種類が違っても、任された売却に向き合う姿勢を変える理由にはなりません。
何社にも頼めば、高く売れるわけではありません。
依頼する会社を増やしても、広告の掲載先や紹介する買主層が重なることがあります。会社の数が増えることと、高く買う人が見つかることは同じではありません。購入希望者が集まりやすい立地の物件と、買主を探しながら価格や使い方、引渡し条件を調整する物件とでは、販売の進め方も違います。
複数社の販売活動を比べたいなら一般媒介、相談や交渉の窓口をまとめたいなら専任・専属専任という選択肢があります。どの場合も、査定額の高さだけでなく、その価格でどう販売するかという説明を聞いて依頼先を決めます。
なお、査定を何社かに頼むことと、販売を何社かに依頼することは別です。相談・査定を比べてから、販売を任せる会社を決める進め方もあります。
任せると決めたら、一定期間は方針を共有して取り組む。
不動産会社に依頼した後も、その都度ほかの会社の査定額に合わせて方針を変えていては、販売活動を評価しにくくなります。例えば3か月をひとつの区切りに、合意した販売計画で進め、その仕事ぶりを見て次を判断するという考え方です。
- 始める前:売出し価格、広告・紹介の方法、報告の頻度、見直しの時期を決める。
- 販売中:問合せや内見の反応を共有し、広告や条件を見直す。売主の希望や予定が変わったときも伝え合う。
- 区切りの時点:約束した活動が行われたか、状況の説明と次の提案があったかを確認し、継続するか別の会社へ替えるかを判断する。
成約したかどうかだけでなく、どんな活動をして、何が分かり、次にどう進めるのか。その説明まで見て判断します。報告や対応に問題があれば、区切りを待たずに確認して構いません。3か月間、何も言わずに待つという意味ではありません。
売主が事情や希望を伝え、担当者が現実的な見通しと提案を返す。任せた後もそうしたやり取りを重ねて、売却を進めるための信頼関係を築いていきます。
契約前に、販売方法・報告・費用を具体的に聞く。
「どこに広告を出し、誰に紹介しますか?」
掲載先だけでなく、物件の特徴をどう伝えるか、他社の購入希望者への紹介、土地なら建築会社などへの紹介方法も確認します。広告を控えたい事情があるなら、この段階で相談します。
「何を、いつ、どんな方法で報告してもらえますか?」
問合せ・内見の件数に加え、見学した人の反応と、次に何を変えるかまで聞きます。一般媒介も、報告しなくてよいと決めつけず、頻度と方法を取り決めます。
「仲介手数料はいくらで、ほかに費用はかかりますか?」
手数料の額と支払時期、特別に頼む広告や調査などの費用を確認します。測量・解体・片付けも、誰が発注し、何を負担するかを分けておきます。

仲介手数料などの費用と、売却後の手取りを確認する →
古い家を売る前に解体するか迷っている方へ →
期間と、途中でやめる場合の扱いも確認する。
専任・専属専任の契約期間は、3か月以内で決めます。途中での終了は、双方の合意や契約上の解除条件を確認して進めます。会社に義務違反がある場合と、売主の都合でやめる場合とでは扱いが異なり、活動費用の精算が生じることもあります。一般媒介も、期間・更新・解除・費用の条項を確認しましょう。
会社を替える場合や売却を中止する場合は、今の契約を確認し、終了日や費用を整理してから進めます。特に専任・専属専任の期間中、別の会社へ重ねて販売を依頼すると契約違反になり得るため、先に新たな依頼をしないようにします。
春日井市の家・土地を売りたい方へ:相談から売却までの案内 →
参考:国土交通省・標準媒介契約約款(2024年4月施行版/PDF)/不動産取引に関する消費者向け案内

