登記の住所が昔のまま。家を売る前に、どう直す?
引っ越しをしたのに、不動産の登記は購入当時の住所のまま。結婚や離婚で姓が変わったのに、登記には旧姓が残っている。売却の準備で、こうした違いが分かることがあります。住所や氏名が古いだけで、売却をあきらめる必要はありません。ただし、買主へ名義を移す前に、必要な変更登記を済ませる段取りが要ります。

住民票を移しても、登記の住所が変わるとは限りません
ここで直すのは、家や土地の「所在地」ではなく、その不動産を所有している人の住所・氏名です。例えば、購入時に別の場所に住んでいて、購入後にその家へ引っ越した場合、登記には購入時の住所が残っていることがあります。
今住んでいる場所へ住所を移す。
登記に記録された所有者の住所・氏名を直す。
住民票の手続きや固定資産税の送付先変更だけでは、登記も直したことにはなりません。すでに変更済みかどうかは、現在の登記記録で確認します。権利証が古い住所でも、それだけで現在の登記も古いとは判断できません。
同じ所有者の住所を直す話と、相続で所有者を変更する話は別です。まず名義人と相続の状況を整理します。
2026年から義務化。期限は「いつ変わったか」で分かれます
2026年4月1日から、不動産の所有者は住所・氏名が変わったときの変更登記が義務になりました。昔の変更をそのままにしている場合も対象です。
何年も前の引っ越しや改姓も含まれます。
全員が2028年3月まで、というわけではありません。
正当な理由なく義務を怠ると、5万円以下の過料の対象となる可能性があります。ただし、期限を過ぎた瞬間に一律で科される仕組みではありません。登記官による催告などを経て、裁判所が判断します。
売却予定がある場合は、この期限まで待てばよいわけではありません。買主へ所有権を移す手続きに間に合うよう、売却の日程の中で準備します。
売却相談で違いを確認し、司法書士と手続きを進めます
「登記がどうなっているか分からない」「何回か引っ越していて、昔の住所をすぐ思い出せない」。その状態からでも売却相談はできます。すべての資料を自分で集めてから来ていただく必要はありません。
現在の登記記録と所有者の住所・氏名を照合します。引っ越しや改姓が分かれば、司法書士へつなぎます。
以前の住所・氏名から現在まで、同じ人だと確認できる資料を調べます。必要に応じ、住民票・戸籍の附票・戸籍の証明書などを用意します。
分かる範囲の住所の変遷を伝え、案内された書類や委任状などを準備します。登記申請は、依頼を受けた司法書士が行います。
通常、所有者の住所・氏名を直したうえで、売買による所有権移転登記へ進みます。申請の順序や日程は司法書士と調整します。
住所変更がまだだからといって、必ず売買契約の前に直し終えなければならない、ということではありません。ただし、資料が不足すれば引渡しの日程に影響します。契約後に慌てるより、相談時から確認しておく方が進めやすくなります。
現在の住民票だけで、登記にある昔の住所まで確認できるとは限りません。戸籍の附票などで住所のつながりを確認し、古い記録が取れない場合は、ほかに必要な資料・方法を司法書士が検討します。「今の住民票が1枚あれば終わる」と決めつけないことが大切です。
権利証が見つからない場合も、住所変更とは別の確認が必要です。両方が気になるときは、売却準備の中でまとめて状況を伝えてください。
権利証が見つからない場合の手続き →
通常の変更登記は、税金・証明書代・司法書士費用を分けて確認
司法書士に依頼する場合、「登記の費用」は税金だけではありません。対象の不動産の数や、住所・氏名の変更状況を確認したうえで見積りを取ります。
例えば、土地1筆と建物1棟の住所変更登記なら、登録免許税は通常合計2,000円です。土地が複数筆に分かれていれば数が増えます。2,000円ですべての手続きが終わる、という意味ではありません。住居表示の実施に伴う変更など、非課税となる場合もあります。
住所変更の費用だけでなく、ローンの抵当権抹消や仲介手数料なども含め、売却後に残る金額を整理しましょう。
売却費用と手取りの全体像を見る →
無料の「スマート変更登記」。売却を急ぐときは待てません
国内に住む個人の場合、法務局へ「検索用情報の申出」をしておけば、法務局が住基ネットで変更を確認し、本人の了解を得て住所・氏名の変更登記を行う仕組みがあります。これがスマート変更登記です。申出と法務局による変更登記は無料です。
申し出る→法務局が
変更を確認→本人が通知に回答
変更登記へ
ただし、住民票を移せば、誰でもその場で自動的に登記も変わるわけではありません。検索用情報の申出がされていても、登記記録がすぐ更新されるとは限らず、海外に住む個人は対象外です。
法務局の決めた予定に沿って進むため、売買による名義変更を控え、早く住所を直す必要がある場合は、通常の変更登記を申請します。申出済み・通知に回答済みの方は、その状況も司法書士へ伝えてください。
2026年10月21日時点の案内:2026年度に対象となるのは、2026年3月31日までに法務局で検索用情報の登録が完了した方です。意思確認通知は2026年12月中旬以降、順次送られます。それ以降の登録は2027年度以降の対象となり、送付時期などは法務省の案内で確認が必要です。
申出をして法務局の対応を待っている間は、登記がまだ直っていないことだけを理由に義務違反に問われる扱いにはなりません。ただし、届いた意思確認通知への回答など、必要な対応は続きます。義務化への対応と、売却に必要な登記を完了させることは、分けて考えましょう。

制度・手続きの確認日:2026年10月21日。この記事は個人が所有する家・土地の一般的な説明です。必要書類・申請方法は、登記記録と変更の経緯に応じて司法書士・法務局へ確認します。

