住宅ローンの金利が上がると、毎月いくら増える?超低金利の時代から考え方を見直す
おカン住宅ローンの金利が上がるって聞くけど、結局、毎月いくら増えるの? 今なら払えそうでも、この先が気になるわ。
まず、自分のローンの金利と、返済額が変わる仕組みを分けて見たいですね。そのうえで、金利が上がった場合を計算し、収入や暮らしの変化も重ねて考えます。
住宅ローンを考えるとき、長く続いた超低金利の感覚を、そのまま先の35年に当てはめてよいのか。これから借りる人にも、すでに返済している人にも、気になるところだと思います。
この記事では、金利の時代背景から、途中で金利が変わった場合の返済例、返済を続けるための備えと対応までを整理します。将来の金利を当てることより、条件が変わっても家族の暮らしをどう守るかを考えるための記事です。
超低金利が続いた時代から、返済の考え方を見直す時代へ
私が不動産の仕事をしてきた約30年も、振り返れば、ほとんど低金利の時代でした。「これから金利が上がる」と言われても、上がった後にまた下がる。その繰り返しで、低金利が続いてきたという実感があります。
いまは、その超低金利を支えてきた政策の枠組みが変わり、住宅ローン金利も実際に上がっています。家を買うときのお金の前提が変わる転換期です。不動産の仕事をする立場としても、これから家を買うお客様には、この変化を踏まえて返済計画を考えていただきたいと思っています。
- 1990年代前半|バブル崩壊後、金利が低下高い金利の時代から金融緩和へ。1991年には公定歩合の引下げが始まりました。
- 1999年|ゼロ金利政策その後も、景気・物価に対応する低金利政策が続きます。
- 2000〜2001年|ゼロ金利解除の後、再び緩和へ2000年8月にゼロ金利を解除。しかし、2001年3月には量的緩和政策を導入しました。
- 2006〜2008年|利上げの後、金融危機で利下げ2006年にゼロ金利を解除し、2007年に追加利上げ。その後、世界的な金融危機の中、2008年には再び利下げに転じました。
- 2016年|マイナス金利政策を導入低い金利が長く続く環境に。マイナス金利は日銀当座預金の一部への適用で、住宅ローンが一律にマイナスになる意味ではありません。
- 2024年3月|マイナス金利政策を終了日銀は枠組みを見直し、短期金利の操作を主な政策手段へ。
- 2025〜2026年|金利を引き上げる局面へ日銀は2025年12月に政策金利の誘導目標を0.75%程度、2026年9月には1.25%程度に変更しました。
金融政策の転換点を整理した年表です。各時代の政策手段・金利指標は同一ではなく、住宅ローンの適用金利を並べたものでもありません。最新欄は2026年10月23日時点で確認した情報です。
資料:日本銀行・2000年以降の政策の経緯/内閣府・1991年以降の金融緩和/内閣府・2006〜2007年の金融政策/日本銀行・金融政策の変遷(図表16)/2024年3月の見直し/2025年12月/2026年9月の決定
「約30年ぶり」という言葉も、30年間一度も利上げがなかった、という意味ではありません。2025年12月の0.75%程度への引上げでは、約30年ぶりの水準であることが話題になりました。参考:日本銀行・同月の総裁記者会見
住宅ローンの相談に引きつけるなら、重要なのは「昔の高金利に必ず戻る」ことではなく、低い金利がほとんど変わらないという前提だけでは、先の返済を考えにくくなっていることです。親や知人が借りた時代の経験も参考になりますが、今の金利・物件価格・収入・借入期間で、自分の計画を組み直す必要があります。
住宅ローンの金利は、長い据え置きから上昇へ
2024年3月、日銀は賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価目標を持続的・安定的に実現できる見通しが立ったとして、マイナス金利政策などの枠組みを見直しました。「上がるかもしれない」という予想だけでなく、政策が変わり、銀行の住宅ローン金利にも変化が現れています。
例えば、三井住友銀行が公表している変動金利型(短期プライムレート連動)の店頭金利・優遇前を、いくつかの時点で比べると次のようになります。
| 時点 | 店頭金利(年率・優遇前) |
|---|---|
| 2021年1月 | 2.475% |
| 2024年9月 | 2.475% |
| 2024年10月 | 2.625% |
| 2025年4月 | 2.875% |
| 2026年3月 | 3.125% |
| 2026年10月 | 3.375% |
一つの銀行の公表値を抜粋した例です。借りる人に実際に適用される金利は、優遇幅や契約条件などで異なります。この数字がそのまま全員の借入金利になるわけではありません。
これからの返済計画では、金利の上昇を自分の家計に織り込んで考える必要があります。借入額をどうするか、毎月の返済が増えたときにどこまで対応できるか。ここからは、その変化が暮らしにどう影響するのかを、具体的な数字で見ていきましょう。
政策金利と、自分の住宅ローン金利は同じではない
ニュースの「日銀が0.25ポイント利上げ」は、自分の住宅ローンがその日に一律0.25ポイント上がる、という意味ではありません。金融機関の基準金利、優遇幅、見直し日などが関わります。まず、自分が借りる商品の種類から確かめます。
| 借り方 | 金利上昇の影響を見る場所 |
|---|---|
| 変動金利 | 基準金利が変わると、自分への適用金利も変わり得ます。金利の見直し日と、返済額へ反映する日・方法は別に確認します。 |
| 全期間固定金利 | すでに借りた後の金利は、原則として契約した条件によります。世の中の金利が上がっても、それだけで自分の固定金利が変動金利になることはありません。 |
| 当初10年固定など | 固定期間中と、終了後を分けます。終了後の金利水準に加え、優遇幅が当初と違う商品もあるため、その両方を確認します。 |
変動金利は短期の金利環境、固定金利は長期の金利環境などの影響を受けますが、銀行ごとの商品設計も違います。これから借りる人は、以前の見積りや広告ではなく、自分への適用見込みと、金利が決まる時点を確認しましょう。変動・固定・優遇金利の基本も参考にしてください。
参考:りそな銀行・金利の推移と住宅ローン/三井住友銀行・金利タイプと優遇プラン
途中で金利が上がると、月々はいくら変わる?
3,000万円を35年、当初年1.0%、元利均等返済、ボーナス返済なしで借りたと仮定します。最初の毎月の返済は約8.47万円。5年間同じ条件で返すと、残高は約2,633万円になります。
そこから残り30年間の返済額を、金利だけ変えて計算し直すと、次のようになります。金利が1%から2%になっても、返済額が2倍になるわけではありません。元金と利息の合計を、残りの期間で返す計算になるためです。
| 6年目からの金利(仮定) | 計算し直した毎月の返済 |
|---|---|
| 年1.0%のまま | 約8.47万円 |
| 年2.0%へ上昇 | 約9.73万円(当初より約1.3万円増) |
| 年3.0%へ上昇 | 約11.10万円(当初より約2.6万円増) |
この例では、年2.0%なら当初との差は年間約15.2万円。借入額が大きい、残りの期間が長いなど、条件によって影響も変わります。「上がると怖い」で止めず、その差額を毎月どこから出すかまで考えます。
将来予測・現行商品金利ではなく、考え方を示す仮定の試算です。6年目に残高を残り30年で返す額を再計算し、その後の金利は一定と仮定。5年・125%ルール、未払利息、手数料等は反映していません。実際にその月からこの金額へ変わることを示すものではありません。端数処理等も金融機関で異なります。
自分の条件で比べるときは、全国銀行協会のシミュレーションや借入先の試算で、残高・残期間・見直し条件を合わせて確認します。
返済額がすぐ増えなくても、負担が増えていないとは限らない
変動金利の元利均等返済には、金利が変わっても返済額を一定期間据え置く「5年ルール」や、見直し後の返済額をそれまでの125%以内に抑えるルールを設ける商品があります。金利そのものの上限でも、総返済額を25%増までに抑える制度でもありません。
おカン毎月の引落し額が変わっていなければ、まだ気にしなくていいのかと思ってた。
返済額が同じでも、利息が増えて元金の減り方が遅くなる場合があります。引落し額だけでなく、金利と残高の減り方も見ておきたいところです。
上の例の5年後残高、約2,633万円を使い、その時点で毎月の返済額が据え置かれると仮定した1回分の模式計算です。
年1.0%の場合年2.0%になり、返済額は同じと仮定利息を残高×年利÷12で計算した例です。上の表は返済額を再計算した場合、この図は据え置いた場合の内訳を示しています。金融機関の実際の見直し日・初回日割り等は再現していません。
金利が大きく上がって、利息だけで返済額を上回ると、商品によっては未払利息が発生する場合もあります。最終返済時に残る元金・利息の扱いも契約によります。ただし、少し金利が上がれば必ず未払利息になる、という話ではありません。
また、これらのルールは全金融機関・全商品に共通ではありません。例えば三菱UFJ銀行では変動金利・元利均等返済に適用する一方、SBI新生銀行では採用していないと案内しています。ルールの有無だけで良し悪しを決めず、金利の変更、返済額の変更、最後に残る債務の扱いをセットで確認します。
参考:三菱UFJ銀行・5年/125%ルール/SBI新生銀行・変動金利の留意事項/全国銀行協会・未払利息
金利だけでなく、収入と支出も変わる
同じ月1万円の返済増でも、昇給した時期と、育休・時短・転職などで世帯収入が下がった時期では、負担感が違います。物価や教育費、車の買替え、家の修繕費が重なることもあります。固定金利を選んでも、こうした家計の変化まで固定されるわけではありません。
手取り45万円
生活費・教育費・車など27万円
ローン返済10万円
税金・保険・修繕等への備え3万円
→ 残り5万円
手取り38万円
生活費等27万円
ローン返済10万円
持ち家への備え3万円
→ 月2万円の不足
家計の変化を示す架空例で、平均や安全基準ではありません。手取りは給付等も含め実際に使える金額で考えます。年払い・臨時支出や貯蓄の取り崩し、生活費の変化も世帯ごとに組み直します。
一時的な不足なら、いつまで、合計いくらを手元資金で補う計画かを考えます。長く続く不足なら、毎月の支出・働き方・住居費を含めた見直しが必要になるでしょう。「将来は給料が上がるはず」だけで増加分を埋める前提にはせず、上がらなかった場合も一度並べてみます。
夫婦で借りる場合も、二人の収入がずっと同じとは限りません。団信があっても、時短勤務や失業による収入減を自動的に補ってくれるわけではありません。死亡・病気など、保障される条件と、家計で備える場面を分けます。
団信の基本は住宅金融支援機構の説明へ。保障範囲は加入する商品で確認してください。
借りる前には、今だけでなく「子どもの進学」「働き方の変更」「退職後」の自分たちの年齢と収支を、ざっくりでも同じ紙に並べます。35歳で35年借りれば完済予定は70歳です。長く借りること自体を悪いと決めず、その時期まで返すか、途中で減らすなら何のお金で行うかを考えます。
固定・繰上返済・借換え。対応は一つではない
変動か固定か。実際には、約4人に3人が変動型
「結局、変動と固定のどちらがいいの?」。将来どちらの総返済額が少なくなるかは、借りる時点では誰にも分かりません。一方で、実際にどちらを選ぶ人が多いのかを示すデータはあります。
| 利用した金利タイプ | 割合 |
|---|---|
| 変動型 | 75.0% |
| 固定期間選択型 | 14.9% |
| 全期間固定型 | 10.1% |
住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2026年1月調査)」。2025年4〜9月に借り入れた全国の20歳以上70歳未満の1,237人へのインターネット調査です。全借入者を集計した市場シェアや、2026年10月時点の契約割合ではありません。
出典:住宅金融支援機構・調査概要と利用した金利タイプ(2・8ページ)
この調査では変動型が多数派ですが、前回調査の79.0%からは4.0ポイント下がり、固定期間選択型と全期間固定型の割合は増えています。変動型が多数派という状況の中でも、固定型を選ぶ割合は増えています。
多数派の変動型を選ぶことと、自分の家計に合うことは別です。変動型を選ぶなら、固定型との当初の返済額の差だけでなく、金利が上がった場合の返済を、手元資金や毎月の余裕でどこまで受け止められるかを見ます。全期間固定型なら、提示された金利と返済額で暮らしが成り立つか、その見通しを持てる安心をどう評価するかです。固定期間選択型は、固定期間が終わった後の条件も含めて比べます。
「どちらが得か」を言い切るより、それぞれの条件で試算し、家計の余力と自分の安心の持ち方に合う方を選ぶ。金利上昇の局面でも、全員に同じ答えがあるわけではありません。
金利上昇が気になるからといって、全員が同じ対応をする必要はありません。増えた返済を家計で吸収できる方、金額が決まる安心を選びたい方、数年以内の住み替えを考える方では、選ぶ条件も違います。
| 選択肢 | 効果と、確認すること |
|---|---|
| 借入額・購入条件を調整 | これから買うなら、借入額、物件価格、工事の優先順位や時期を合わせて見直す。希望を全部あきらめる前に、配分を相談。 |
| 固定金利を選ぶ・切り替える | 金利の見通しを立てやすくする選択。ただし、その時点の固定金利・費用・変更条件で比較。将来いつでも今の固定金利へ移れるわけではない。 |
| 繰上返済する | 元金を減らして利息負担を抑える方法。期間短縮型と返済額軽減型などで効果が違う。生活や教育・修繕に必要なお金まで使わない。 |
| 借換えを検討する | 別のローンで借り直すため、新たな審査や費用がある。金利差だけでなく、残期間の返済総額と費用・保障まで比較。 |
| 返済条件の変更を相談 | 返済が続けにくい場合、期間延長や一定期間の減額等を借入先へ相談。利用条件・審査があり、必ず認められるわけではない。 |
「上がったら固定に替えればいい」と考えていても、そのとき固定金利も上がっている可能性があります。反対に、慌てて繰上返済し、生活の現金が足りなくなるのも避けたいところです。今の契約を続ける場合と、変更する場合を、同じ条件・残期間で比べることから始めます。
参考:東京都・繰上返済と手元資金の注意点/三井住友銀行・借換えの審査・費用の案内
ボーナス返済を入れると、通常月の負担は小さく見えますが、賞与が減っても返済日は来ます。ボーナス分を含む年間返済額で考え、困りそうなら、毎月返済への配分変更などが可能かも早めに確認します。条件変更で月々が減っても、総返済額が増える場合や、その後に負担が戻る場合があります。
参考:全国銀行協会・返済条件変更の相談例/住宅金融支援機構・返済方法の変更
転勤したら貸す、困ったら売る。その前に確認すること
住宅ローンは、通常、自分や家族が住む家のための契約です。転勤で家を空ける場合、「家賃が入れば返せる」と先に賃貸募集を始めるのではなく、まず借入先に事情を伝え、契約を継続できる条件と必要手続きを確認します。
例えばフラット35は、転勤などのやむを得ない事情で一時的に住めず、戻る前提で貸す場合を案内していますが、これはすべての住宅ローンで自由に貸せるという意味ではありません。参考:住宅金融支援機構・返済中の賃貸について
また、ローンが残っていても売却を検討できますが、通常は売却時にローンを完済し、抵当権を外す段取りが必要です。売れる価格から費用を引いたお金が完済額に足りるかを確認し、不足するなら、その扱いを借入先と相談します。「家があるから、いつでも売って解決できる」と決めつけず、残高と売却見通しを合わせて考えます。
詳しくは住宅ローンが残る家の売却へ。返済が難しい状況で、売却しても完済が見込めない場合は、任意売却の進め方も関わります。売却だけを急いで決めるのではなく、返済継続の相談と並べて選択肢を確認します。
金利の予想より、「変わったらどう動くか」を持っておく
気になる物件の価格と、自分の収入・自己資金を材料に、当初の返済額だけでなく、金利を変えた試算を相談してみてください。家探しの途中で予算も動くので、その都度、購入総額と手元に残すお金を見直します。
すでに借りている方借入先のアプリや返済予定表などで、残高、適用金利、残期間、次の金利・返済額の見直し時期を確認。不明なら担当窓口に「自分の契約だと、いつ、どう変わりますか」と聞くところから始められます。
近い将来の支払いが難しそうなら、滞納するまで待たず、借入先の金融機関へ相談してください。支払額を自分の判断で減らしたり、別の高金利の借入れで埋め続けたりせず、今後の収入・支出と、使える資金を伝えて対応を相談します。必要な資料は窓口の案内に沿って準備します。
当社では、購入前の物件と資金計画の相談、住み替え・売却の見通しの確認をお手伝いします。借入先への返済条件の相談とは役割を分けながら、家をどうするかも含めて整理します。返済相談の窓口が分からない場合は、全国銀行協会のカウンセリング案内も確認できます。
超低金利だったころの常識を、そのまま借り方の答えにしない。一方で、金利上昇だけを理由に、希望する暮らしを全部あきらめる必要もありません。いくらなら払えるか、変化があれば何を調整できるか。家族の希望と数字を行き来して、自分たちに合う計画へ更新していきましょう。
確認した資料・計算例について
確認日:2026年10月23日。一次資料は該当箇所に掲載。制度・商品条件は異なり、政策金利の値は住宅ローンの適用金利ではありません。試算は元利均等・月割りで独自計算し、実商品や将来の金利・家計を保証するものではありません。会話・家計は説明のための架空例です。


