相談26|築50年の事務所、まだ貸せる?(名古屋市・70代女性)

長く貸していた、小さな事務所。借主が退去することになり、次をどうしようか。築50年を超えているし、もう壊した方がいいのだろうか。
名古屋市の70代の女性からのご相談でした。建物は約10坪の木造平屋。土地を売るおつもりはなく、建物を壊すか、また貸すか、そのまま置いておくかで迷っておられました。
現地を見に行くと、古さはあるものの、事務所や倉庫として使う余地のある建物でした。
借主が退去。壊すか、もう一度貸すか
借りている人がいる間は、古い建物でも使われています。退去の話が出ると、次の人も借りてくれるだろうか、と考えることになる。
築50年を超えた建物ですから、新しい事務所を探す方には、選ばれにくいかもしれません。それでも、建物の古さより、広さや場所、家賃が合うことを重視する方もいます。
小さな事業の事務所にする。道具や資材を置く倉庫にする。現地では、そうした使い方ができるかを見ていきました。
今回は、まだ貸せる状態だと判断しました。ただ、築年数だけで貸せるとも、壊した方がいいとも決められません。例えば、雨漏りや大きな傷みがあり、直すのに多額の費用がかかるなら、話は変わります。
この建物では、大きな工事をして作り替えるのではなく、今ある建物を使ってくれる方を探す方向で考えました。
売る予定はなく、建物もまだ使える
壊せば建物はなくなりますが、解体費用がかかります。その後に土地を売る予定があるわけでもありませんでした。
だから、古くなったという理由だけで、今すぐ解体を進める必要はありません。
一方、そのまま空けておけば、家賃は入らなくなります。建物が残っている以上、傷んでいないか、雨漏りしていないかといった確認も必要です。
また貸すことができれば、建物を残したまま家賃収入を得られる。ただ、そのためにいくら修繕費をかけるかは、考えておきたいところです。
今回は、売る予定がなく、建物にも使い道がありました。そこで、必要なところを直して、もう一度借主を探すことになりました。
直したのは、和式トイレ
古い建物を貸すとなると、床も壁も設備も、全部新しくしなければと思うかもしれません。でも、工事にお金をかけた分だけ家賃を上げられるとは限りません。
今回、修繕したのはトイレでした。和式から洋式に変更しました。
事務所でも倉庫でも、そこで仕事をする人が使います。建物の古さは気にならなくても、トイレは使いやすい方がいい。今ある建物を貸すうえで、ここは直しておこうという判断でした。
内装を一新するような大きなリフォームはせず、この修繕をして募集しました。
何も直さずに貸す、という話でもありません。安全に使うための修繕と、見た目を新しくする工事は分けて考えます。必要な修繕をしたうえで、古さを含めて使ってくれる方に見てもらう。その進め方です。
建築職人の倉庫として、借主が決まった
募集を始めると、問い合わせは複数ありました。
最終的に借りてくださったのは、個人の建築職人の方です。事務所としてではなく、倉庫として使うことになりました。
以前と同じ使い方でなくても、建物を必要とする人がいました。約10坪の平屋が、その方には仕事で使う場所になったわけです。
貸す側としても、大きなリフォームをせずに、再び家賃が入るようになりました。
修繕費と家賃を比べて、貸すか考える
今回の建物は、古くても使える状態だったこと、そして、その場所に借りたい方がいたことで、もう一度貸すことができました。
別の建物でも同じように貸せる、とは限りません。直す費用が大きければ、家賃が入っても回収に時間がかかります。使える建物でも、借りたい方がいなければ空いたままです。
貸せる見込みを考えるときは、建物の状態と、必要な修繕費、その場所で見込める家賃を並べます。事務所として探す人が少なくても、倉庫としての需要があるかもしれない。使い方も少し広げてみます。
今回は、借主の退去が、解体のきっかけにはなりませんでした。和式トイレを洋式に直し、小さな事務所は建築職人の倉庫として、引き続き使われることになりました。
※実際の相談をもとに、一般的な検討事項を交えて再編集しています。建物の状態や用途によって、必要な修繕・確認事項は異なります。
春日井シティ不動産株式会社
代表 山本直嗣
