家で人が亡くなった。売るとき、どこまで伝える?自然死・昔の事件と告知事項

売主のための告知事項ガイド資料確認:2026年10月31日
話すのは、気が重い。
どこまで知られる?
実家を売ろうと思ったとき、「母は家で亡くなったけれど、そのことまで話すのだろうか」。以前の事件を知っている土地なら、「もう昔の話だし、建物もない。それでも必要なのか」。値段のことだけでなく、家族のことを人に話す抵抗もあると思います。
必要な事実を伝えることと、私生活まで広めることは、分けて考えられます。まずは、何が告知の対象になり、どんな伝え方をするのか。売る側から整理してみましょう。
おカン家を売るのに、家族の最期のことまで話さなきゃいけないの?
自然死なのか、発見が遅れて特殊清掃などがあったのか。そこでも扱いは違います。まず、分かっている事情を担当者と整理しましょう。
おカン相談したら、あちこちに話されるのも嫌なのよ。
そこも大事です。必要な相手に、必要な事実を伝える。亡くなった方やご家族のことまで、何でも知らせる話ではありません。
会話は内容を説明するための架空のやりとりです。
特殊清掃などがあった場合や、相手から質問された場合は別に確認。
賃貸の目安を、そのまま家や土地の売却に使わない。
判断に必要な事実と、個人のプライバシーを分ける。
01 / 告知の目安自然死と事件事故。
告知の目安は違います。
基準として確認したのは、国土交通省が2021年10月に公表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」です。ここでいう不動産は、住宅として使う不動産。主に不動産会社の宅建業法上の対応を整理したもので、売主の民事上の責任まで一律に免除する制度ではありません。国交省の原文を確認する →
老衰や病死、
日常の不慮の事故
入浴中の溺死、階段からの転落、食事中の誤嚥なども含みます。下の特殊清掃等がない場合です。
- 売買
- 原則として、告知不要。
- 賃貸
- 原則として、告知不要。
自然死などでも、
特殊清掃等を行った
亡くなってから長く発見されず、汚損や臭いに対する特殊清掃・大規模改修等をしたケース。普通の退去清掃と同じには扱いません。
- 売買
- 買主の判断に重要な影響を及ぼす場合は告知。何年で不要という一律の期限はありません。
- 賃貸
- このような死が発覚したときから概ね3年が経過した後は、原則として告知不要。特段の事情がある場合は別です。
自死・他殺など、
Aに当たらない人の死
事案の内容、起きた場所、どの程度知られているかなどを確認します。
- 売買
- 買主の判断に重要な影響を及ぼす場合は告知。一律の経過年数では判断しません。
- 賃貸
- 発生後は原則告知。発生から概ね3年経過後は原則告知不要ですが、事件性・周知性・社会的影響などが特に高い場合は、その後も必要になります。
「孤独死だった」という言葉だけでは、決まりません。
一人で暮らしていた方の自然死でも、早く発見され、特殊清掃等がない場合と、発見が遅れて対応が必要になった場合とでは事情が違います。「一人で亡くなったから事故物件」「病死だから何も伝えなくていい」と、呼び方だけで結論を出さないことです。
02 / グレーゾーンを確かめる昔の話なら?
更地にすれば変わる?
売買では、事件の内容や経過した年月、周囲にどの程度知られているか、買主の利用目的などを含めて考えます。「10年以上前だから不要」「更地にしたから終わり」という共通の線引きはありません。
約3年前の死亡火災。
建物は既に取り壊し。
土地を買って建物を新築する取引で、以前の建物の死亡火災が問題になりました。近隣に記憶が残っていることなどから心理的な問題が認められ、事情を知っていた売主に損害賠償が認められています。
RETIOの裁判例解説 →17年前の死亡火災。
その後は駐車場に。
長い年月が経過し、建物が撤去され、事故の記憶がなお強く残ることを示す証拠もないなどの事情を総合し、土地の瑕疵は認められませんでした。売主・仲介業者が通常の取引で事案を知り得たともいえず、買主の請求は棄却されています。
RETIOの裁判例解説 →いずれも2021年のガイドライン公表前・改正前民法による個別の裁判例です。3年・17年を現在の告知期限として使うことはできません。ガイドライン自体も、建物取り壊し後の土地取引については統一的な基準の対象外としています。
一度、ほかの人が住めば告知しなくていい?
入居者を一人挟めば告知が不要になる、というルールはありません。賃貸の概ね3年も、単に次の入居者が住んだかどうかでは判断しません。売却は売買として、事案の内容を確認します。
自宅で倒れ、搬送先の病院で亡くなった場合は?
搬送先の病院で死亡した場合の扱いは、ガイドラインが一般的な基準を示していない事項です。「病院で亡くなったから何も関係ない」とは決めず、物件内で何が起きたか、死因や取引への影響などを個別に確認します。
隣の部屋や、マンションの共用部分で起きたら?
隣接住戸や、日常通常使わない共用部分の事案は、売買・賃貸とも原則告知不要とされています。ただし、特に社会的影響が大きい場合や相手から質問された場合などは別です。毎日使う玄関・廊下・エレベーター等は分けて判断します。マンション全体を一括りにしません。
ネットの書込みや、人づての話しか知らないときは?
「親からそう聞いた」「場所や時期は確かでない」なら、そのまま担当者に伝えます。噂を確認済みの事実として扱わず、分かることと分からないことを分ける。不動産会社は、事案を疑う事情があれば売主などへの確認が必要です。近所への聞込みやネット調査を一律に義務付けるガイドラインではなく、第三者への調査にも慎重さが求められています。
03 / 売り方と価格告知があれば、
必ず安くなる?
自然死があったというだけで、値下げが当然になるわけではありません。一方、事件事故の内容などによって、購入を見送る人が増え、価格や売れるまでの期間に影響することはあります。
それでも「売れない物件」と最初から決める話ではありません。立地、建物の状態、買う人の使い方、価格と引渡し条件を合わせて考えます。「事故物件は一律で何割引き」という計算では、その物件の売却価格は出せません。
臭いや汚損、建物の不具合への対応と、人が亡くなった事実の扱いは別です。きれいに直しても、必要な告知が自動的になくなるわけではありません。解体費を払う前に、建物を残す売り方と更地にする売り方、費用を引いた手取りを比べたいところです。
仲介で買主を探すか、不動産会社による買取も検討するか。急ぐ事情、周囲に知られたくない気持ちも聞いたうえで比べます。仲介と買取の違い・向いている事情を読む →
ガル太安くして「現状のまま」で売れば、あとから問題にならない?
安くした理由まで、相手と共有できているかが大事です。必要な事実を伏せたままなら、「安かったから分かるはず」とは言えません。
知らされていなかった事実が契約後に分かれば、損害賠償や契約解除などの争いにつながる可能性があります。「現況のまま」「責任を負わない」という文言だけで、知りながら告げなかった事実まで免責されるわけではありません。民法572条も確認が必要です。責任の有無や範囲は、事案と契約内容により個別に判断されます。
04 / 告知とプライバシー必要な告知と、
守るプライバシー。
告知する場合、国交省のガイドラインが挙げるのは、発生時期(特殊清掃等の場合は発覚時期)、場所、自然死・他殺・自死・事故死等の別、特殊清掃等を行ったかといった、確認できた事実です。死因が分からなければ、その旨も伝えます。
いつ、どこで、
何が分かっているか。
告知書などに整理し、買主が判断できるように説明。特殊清掃や改修後も、残る臭い・汚損などがあれば、その状態も確認します。
故人や遺族の私生活、
細かな最期の様子。
亡くなった方の氏名・年齢・住所・家族構成、具体的な死の態様や発見状況等まで告げる必要はないとされています。物件の所在や発生場所の説明とは分け、写真や私的な資料を一式渡す話にしません。
不動産会社には、告知と秘密保持の両方が求められます。
宅建業法45条は、業務で知った秘密を正当な理由なく漏らすことを禁じています。ただし、必要な告知を「秘密だから」と隠せるわけでもありません。売主が安心して話せることと、買主が十分に判断できること。その両方を考えて、情報を扱います。
- 01まず、担当者と事実を整理する誰から聞いた話か、確認できる資料はあるか。不明な点を、勝手に補わない。
- 02広告や他社への共有方法を確認するどの媒体に、どんな表記をするのか。仲介する他社とは何を共有するのか。販売開始前に担当者から説明を受ける。
- 03買主が判断する前に、必要な告知を行う必要な事実を隠さず、告知書などの書面に残す。広告に「告知事項あり」とだけ書いても、具体的な説明の代わりにはならない。
「全部内緒で売れます」でも、「念のため何もかも知らせます」でも、不安は残ります。どの事実を、誰に、いつ、どんな言葉で伝えるか。そこまで相談できる担当者かを確かめてください。必要な告知についても説明を受け、売主と不動産会社で認識をそろえておきます。
05 / 相談の準備告知書を書く前に、
分かることを整理する。
最初から正しい法律用語や、漏れのない書類がそろっている必要はありません。まずは、次の3つを分かる範囲で伝えてください。
- 知っている事実と、聞いた話いつ頃の、どの場所の話か。自分が確認したのか、家族などから聞いたのか。分からない点もそのまま伝える。
- 清掃・修繕・解体などの履歴手元に見積書や工事の記録があれば、必要な範囲を担当者と確認する。ない資料を無理にそろえるところから始めなくても構いません。
- 売り方について気になっていること家族のことを広めたくない、売却を急いでいる、まず価格への影響だけ聞きたい。そうした希望も話しておく。
告知書の「あり・なし」を自分だけで決めにくければ、何を知っているかを説明して書き方を相談します。知らないことを「なかった」と断定したり、知っている事実を伏せたりしない。契約後に新しい事実が分かったときも、その時点で担当者に伝えます。
おカン言いにくいことだから、最初の相談がいちばん気が重いのよね。
まだ売ると決めていなくても構いません。まず事情を伺って、確認が必要なこと、伝え方、価格や売り方への影響を一緒に整理します。
思い出のある家を、事情の一言だけで扱われたくない。そう感じるのは自然なことだと思います。必要な告知をきちんと行いながら、売主の気持ちと、ご家族の生活にも配慮して進める。その段取りも、不動産会社の仕事です。法律上の判断や紛争への対応が必要な場合は、弁護士などの専門家と連携して考えます。
何を伝えるか、
一緒に整理します。
フォームには「告知のことで相談したい」など、相談したいことからどうぞ。詳しい事情や第三者の氏名まで、最初に書く必要はありません。山本がご返信し、お話を伺います。
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