相談12|借地の期限が来たら、返してもらえる?(春日井市・70代女性)

貸していた土地の契約が、30年の節目を迎える。そろそろ返してもらおうか。
春日井市の70代の女性から、そんなご相談がありました。お父様の代から貸している、自宅の庭先の土地です。
お父様が貸した、庭先の約10坪
始まりは、隣地の方から頼まれて、お父様が庭先の約10坪を貸したことでした。その土地にはアパートが建ち、相談に来られた時には、当初とは別の方が借地人として建物を所有していました。
貸したお父様から、娘さんへ。借りている側も、別の方へ。最初に話をした人同士の関係は変わっても、土地を貸す契約は続いていたわけです。
ご本人の希望は、次の更新をせずに土地を返してもらうことでした。
契約書に期限が書いてあれば、そこで一区切りになると思う。貸している側からすれば、そう考えるのも自然なことです。まして、自宅の庭先です。自分の土地なのに、自分では使えない状態が長く続いていました。
期限が来ても、契約が終わらないケースも
ただ、建物を所有するための借地は、期限が来れば必ず返ってくる契約ばかりではありません。
更新のある借地では、地主が更新を断るためには「正当事由」が必要になります。土地を必要とする事情などを踏まえて判断されるもので、単に契約の期限が来たから、というだけでは足りません。
今回も、借りている方のアパートが現に建っています。ご本人が返してほしいと思っていることだけで、契約を終わらせるのは難しい状況でした。
ここは、地主さんにとって分かりにくいところです。土地の持ち主であることと、いつでも土地を返してもらえることは、同じではないんですね。
もちろん、すべての借地が同じ扱いになるわけではありません。更新のない定期借地もあります。いつ、どのような契約で貸したのかによって話が変わるので、まずは契約書とこれまでの経緯を確かめることになります。
貸し続けるなら、借地料を見直せないか
土地を返してもらうのが難しいとなると、次に考えるのは、今の条件でそのまま貸し続けるかどうかです。
今回の借地料は、長く据え置かれていました。そこで、貸し続けることを前提に、借地料を見直す話をすることになりました。
返してもらえないのだから、せめて大幅に上げよう、という話ではありません。借地料も、地主が希望する額に一方的に変えられるものではない。今の条件を確かめながら、借りている方と話をしていきます。
結果として、借地料を少し増額することで、相手の方にも了承していただけました。
土地は戻らず、借地料を増やして継続
ご本人の最初の希望は、土地を返してもらうことでした。今回、その希望がかなったわけではありません。
土地は引き続き貸す。その代わり、長く変わらなかった借地料を少し上げる。今回は、そういう形になりました。
契約の期限は、土地が返ってくる日にはなりませんでしたが、貸している条件を見直す機会にはなりました。
親の代から続く借地は、貸し始めた時の事情を、今の地主さんが詳しく知らないこともあります。期限が近づいてから、初めて契約書を読み直すこともあるでしょう。
返してもらいたいのか。貸し続けてもよいけれど、借地料が気になるのか。土地を持ち続けること自体を考え直したいのか。同じ借地の相談でも、そこによって次の話は変わります。
今回の庭先の約10坪も、まずは「返してほしい」というご相談から始まりました。話を進める中で、土地を貸す条件の見直しになった。借地の相談には、こういう進み方もあります。
