相談10|「山奥の土地が売れる」という営業電話、信用できる?(春日井市・50代男性)

相続した山の土地について、知らない不動産業者から電話が来た。隣の土地も売ることになったので、一緒に売りませんか、という話です。
春日井市にお住まいの50代の男性から、本当に売れる話なのかと相談をいただきました。
親が買った土地。場所もよく分からない
土地があるのは岐阜県です。バブルの頃、親御さんが将来の値上がりを期待して購入したものでした。別荘地として価値が上がる、という話だったそうです。
ところが、今は山の一角。相続したご本人も、正確な場所をよく分かっていませんでした。名義は引き継いだものの、使う予定もなく、そのままになっていた土地です。
そこへ、大阪の不動産業者を名乗る相手から連絡が来ました。
隣の土地と一緒なら売れるのかもしれない。土地をまとめることで買い手がつく取引はあります。ただ、今回はその隣地の売却話も、誰が買うのかも、確認できていませんでした。
ご本人が持て余している土地でも、欲しい人がいれば売れることはあります。それでも、電話で売れると言われたことだけでは、まだ売却の見通しにはなりません。
買ってくれる話? 買い手を探す話?
こういう電話では、まず相手が何をしようとしているのかを聞きます。
その会社が買い取るのか。すでに買いたい人がいるのか。これから買い手を探すのか。同じ「売れます」という話でも、中身は違います。
買い取るというなら、金額や支払いの時期はどうなっているのか。隣の土地と一緒に売るというなら、隣地の話が進まなかったとき、自分の土地はどうなるのか。
その辺りが具体的になれば、話を確かめる材料が出てきます。
土地の方も、場所や道路との関係、どんな使い方ができるかが分からなければ、値段は判断しにくい。今回は、絶対に売れないとも、本当に売れるとも言える段階ではありませんでした。
売るために、先にお金を払う?
今回お伝えしたのは、これから費用を求められたときのことです。
売るために測量が必要、木を切る費用が必要、買い手を探す広告費が必要。そんな話になったら、その場で支払わず、いったん相談してもらうことにしました。
昔、将来値上がりすると勧められて、山林や原野を買った。ところが、使うことも売ることも難しい土地だった。こうした土地を、値上がりが見込めるかのように説明して買わせるのが、原野商法です。
その土地を持て余している人に、今度は売れますと持ちかけ、測量費や広告費などを払わせる。土地は売れず、出費だけが増えてしまう。これが、原野商法の二次被害です。
売れると言われて頼んだのに、お金だけ払って土地は残る。それでは、抱えていた困りごとに、もう一つ負担が増えてしまいます。
もちろん、普通の土地売却でも、先に測量などをすることはあります。費用がかかる話は全部おかしい、ということではありません。
何のための作業で、誰にいくら払うのか。作業が終われば買ってもらえる契約なのか、売れる保証はなく作業代だけ払う契約なのか。そこを確かめたいのです。
今回、実際にその費用を請求されたという記録はありません。相手を詐欺業者と確認したわけでもありません。ただ、売却の話がまだ具体的になっていないうちに、お金を使って進めることは勧めませんでした。
売却話は進まず、連絡も来なくなった
お客様は、その場で提案を受けず、しばらく様子を見ることにしました。その後、具体的な商談には至らず、相手からの連絡も来なくなりました。
土地が売れたわけではありません。処分の問題は残っています。
使う予定がない土地を相続して、場所もよく分からない。自分から売ろうとしても、どこから手をつけたらいいか分からない。そんなところへ売却の話が来れば、聞いてみたくなるのも無理はありません。
今回も、話を聞くことまでやめる必要はありませんでした。ただ、売れると言われたので費用を払う、というところまで進まず、具体的な条件を待つことにしたのです。
買いたい相手と、売れる金額が見えてくれば、そこから話せることがあります。今回の電話は、その手前で終わりました。
春日井シティ不動産株式会社 代表 山本直嗣
※実際の相談事例に、売却勧誘についての一般的な説明を加えて再編集しています。
