介護施設の種類と違い|親の状態・入居条件・費用から考える

名前より先に、
「うちの親が、そこで暮らせるか」。
デイサービス、サ高住、特養、ナーシングホーム。名前と種類が分かっても、親が使えるのか、年金で払えるのか、すぐに入れるのかは、まだ見えてきません。私も、そこを知りたくて調べ直しました。
親の状態に合うことと、家族が無理なく続けられること。その両方から候補を絞れるように、対象・費用・入居の条件を整理します。ここでは主に65歳以上の親を想定しています。
ガル太「老人ホームに入れば安心」って、どこでも同じじゃないんだね。
おカンまだ自分でできることもあるからね。でも夜に困ったとき、誰が来てくれるのかは知りたいわ。
介護の重さだけでなく、認知症や医療の必要性、お金の条件も分けて見た方が、親に合う場所を探しやすいんですね。
まず、親のいまからどんな場面が心配ですか?
まだ一人で暮らせる。昼のお風呂や食事が心配
デイサービス・デイケアを相談。元気な親の転居なら、サ高住や生活支援のある住まいも比較します。
対象と違いを読む →家族が休めない。夜の介護を一人で支えられない
ショートステイや訪問等を組み合わせる。自宅での継続が難しければ、特養・介護付き等の対象になるか相談。
対象と違いを読む →認知症があり、見守りや生活の支えが必要
認知症グループホームなどを比較。診断・介護度・住民要件と、本人の症状に合う体制が必要です。
対象と違いを読む →退院の話が出た。家に戻れるか心配
リハビリを経て戻るなら老健など。医療が長く必要なら介護医療院や医療対応のある住まいを、病院と相談。
対象と違いを読む →「要支援」と「要介護」が、まだ分からなくても。
要支援1・2は、介護予防や生活の支えが必要な区分。要介護1〜5は、介護の必要な程度に応じた区分です。数字が大きいほど介護の必要度が高くなりますが、病名や歩けるかどうかだけで決まるものではありません。
認知症への対応と、吸引・点滴などの医療への対応も、別に確認します。認定前でも、親の住所を担当する地域包括支援センターへ相談できます。
01 自宅の暮らしを続ける昼間を支える「通う」サービス。
自宅で暮らしながら、日中に通う
デイサービス
一人でのお風呂や食事が心配。昼間の支えを増やし、夕方は自宅に帰る方法です。
- 使える人
- 通所介護は要介護1〜5。要支援の方などは、市の総合事業の通所型サービスを相談します。
- 費用・使い方
- 介護保険の自己負担に、食費などの実費を加算。週何回・何時間使うかで月額が変わります。
- 探すとき
- 空き曜日だけでなく、送迎範囲、入浴方法、認知症・医療への対応を確認。夜や通わない日の介護は別に考えます。
自宅に戻りながら、リハビリを続ける
デイケア
退院後、歩行や着替えなどの生活動作を取り戻したい。医療機関や老健などに通うリハビリです。
- 使える人
- 要支援1・2、要介護1〜5。医師の指示と本人の状態を踏まえて利用します。
- デイサービスとの違い
- デイサービスにも機能訓練はあります。デイケアは医師の関与の下で行う通所リハビリ。「どの動作を改善したいか」を伝えて比較します。
- 費用・探し方
- 介護保険の自己負担+食費など。送迎、リハビリの内容・時間・頻度が親に合うかを確認します。
制度:厚労省・デイサービス/デイケア。実際の利用頻度や内容は、ケアプランと事業所の受入状況に合わせます。
02 家族の休息も、利用の理由になる数日泊まる。通いと訪問を組み合わせる。
数日、施設に泊まる
ショートステイ
家族が出張する、介護疲れで休みたい。そうしたとき、一時的に介護を代わってもらう方法です。
- 使える人
- 要支援1・2、要介護1〜5。生活支援中心と、医療・看護やリハビリを受ける種類があります。
- 期間と費用
- 介護保険での連続利用は原則30日まで。利用日数に応じた介護費、食費・滞在費などが必要です。食費等の軽減が使える場合もあります。
- 利用しやすさ
- 希望日の空きと受入条件が必要。急な利用や連休は予約できるとは限りません。担当ケアマネジャーと、待つ間の支えも相談します。
通い・訪問・泊まりを組み合わせる
小規模多機能型居宅介護
「昼だけの日も、訪問してほしい日もある」。同じ事業所を軸に、自宅での暮らしを支えます。
- 使える人
- 要支援1・2、要介護1〜5。地域密着型で、原則その市区町村の住民が対象です。
- 費用と契約
- 介護部分は介護度に応じた月額の仕組み。食費・宿泊費などは別です。登録して利用するため、泊まりだけの予約とは異なります。
- 医療が必要なら
- 訪問看護も組み合わせる「看護小規模多機能」は要介護1〜5が対象。事業所の登録枠と医療対応を確認します。
制度:厚労省・ショートステイ/春日井市・介護サービスの案内。
03 暮らしの場を変える住まいの支援か、日常の介護か。
「老人ホーム」は、一つの制度の名前ではありません。住宅として暮らしを支えるものと、介護保険の施設では、対象も料金の組み立ても違います。
見守りや生活支援のある住まい
サービス付き高齢者向け住宅
サ高住
まだ自分でできることは多いけれど、一人暮らしが不安。安否確認と生活相談を受けられる住まいです。
- 主な入居要件
- 原則60歳以上、または要支援・要介護認定のある方など。自立の方から重い介護が必要な方まで、受け入れる範囲は住宅ごとに違います。
- 介護と医療
- 通常は外部の介護事業所等と契約。特定施設の指定がある場合は、その施設の介護を利用します。夜間の看護・介護が標準で付くわけではありません。
- お金・入りやすさ
- 家賃・共益費・生活支援費・食費などに、介護・医療の自己負担等を追加。敷金や前払金、空室、重くなった後の対応まで比較します。
食事などの生活支援を受ける住まい
住宅型有料老人ホーム
食事や家事などの支えを受け、必要な介護は訪問介護等を組み合わせます。
- 主な入居要件
- 自立・要支援・要介護のどこまで受け入れるか、年齢、認知症や医療の条件はホームごと。「住宅型=軽度の人だけ」とは限りません。
- 介護付きとの違い
- 介護が必要なら、外部の介護サービスを個別に契約する仕組み。使う量が増えたり保険の限度額を超えたりすると、費用が増える場合があります。
- お金・入りやすさ
- 入居一時金等+月額の住居・生活費+介護・医療等。空室があっても状態・支払条件が合うかの確認があります。
ホームの介護サービスを受けて暮らす
介護付き有料老人ホーム
日常的な介助が必要になり、住まいと介護をまとめて考えたいときの候補です。
- 主な入居要件
- 要介護者専用、自立から入れるなど、ホームごとに異なります。受け入れる介護度・認知症・病状を確認します。
- 介護と医療
- 特定施設の指定を受け、ホームが包括的に介護を提供。介護保険部分は介護度等による仕組みですが、保険外の費用は別。夜間の看護師常駐まで一律ではありません。
- お金・入りやすさ
- 一時金の有無、家賃・管理費・食費、介護の自己負担等を比較。予算に加え、夜間の対応、入院時や状態変化時の退去条件も見ます。
制度:厚労省・有料老人ホームの類型/国土交通省・サ高住。サ高住と有料老人ホームは制度上重なる場合があります。
「ナーシングホーム」は、名前から対象を決められない。
法律上の統一された施設類型ではなく、住宅型有料老人ホームやサ高住などとして運営されるものがあります。必要なのは、夜も看護師が建物にいるか、親に必要な処置を何回・どの時間帯に受けられるかの確認です。
例えば医心館の公式案内では、医療依存度の高い方を対象とし、要介護度が高くても密な看護を必要としない場合は入居できないことがあると説明しています。「重い介護だから、ナーシングなら入れる」とも限らないのです。
運営法人の対象説明例:医心館のFAQ。一法人の例であり、すべてのナーシングホームに同じ条件があるという意味ではありません。
日常の介護・リハビリ・長期療養を支える施設
日常的な介護を受けて、長く暮らす
特養|特別養護老人ホーム
食事・排せつ・入浴などに常に介護が必要で、自宅で暮らすことが難しい方の生活の場です。
- 主な入居要件
- 新規入所は原則要介護3〜5。要介護1・2も、在宅生活が難しい事情がある場合の特例入所があります。要支援の方の通常の入居先ではありません。
- 費用の特徴
- 一般に入居一時金はなく、介護費+居住費+食費+日常生活費。所得・資産等に応じ、食費・居住費の軽減を受けられる場合があります。
- 入所の難しさ
- 申込順だけでなく、介護の必要性や家族の状況などで優先順位を判断。空床と医療の受入体制も関係します。待機中の支援を並行して相談します。
退院後などに、在宅復帰を目指す
老健|介護老人保健施設
病状が安定し、家に戻るためのリハビリや医学的な管理の下での介護が必要な方の施設です。
- 主な入所要件
- 要介護1〜5。入院治療が必要な状態か、リハビリと介護で生活を整えられる状態かを、病院や施設に相談します。
- 特養との違い
- 在宅復帰を目指す役割があります。必ず3か月で退所という一律の期限ではありませんが、定期的に状態と退所先を検討します。
- お金・利用の難しさ
- 介護・リハビリ等のサービス費+居住費・食費等。軽減の対象となる場合あり。空きだけでなく、受入判定と退所後の生活の見通しが必要です。
長期の療養と、生活の両方を支える
介護医療院
日常的な医学管理や長い療養が必要で、介護も受けながら暮らす方の施設です。
- 主な入所要件
- 要介護1〜5で、長期の療養が必要な方。治療内容・看護の必要性を主治医や病院の退院支援担当者と確認します。
- ほかのホームとの違い
- 医療と介護を提供する施設です。「介護度が高いから」という理由だけで選ぶのではなく、必要な医療に対応できるかを見ます。
- お金・利用の難しさ
- サービス費+居住費・食費等。軽減の対象となる場合あり。空床と病状に応じた受入判定があり、地域によって選択肢も違います。
認知症の方の、少人数での共同生活
認知症のグループホーム
認知症があり、少人数の暮らしの中で見守りや介護を受ける方の住まいです。
- 主な入居要件
- 認知症の診断があり、要支援2または要介護1〜5。要支援1は対象外。原則、事業所のある市区町村の住民が対象です。
- 費用の特徴
- 介護費+家賃・食費・光熱費等。特養等の食費・居住費の負担限度額認定は、通常こちらには適用されません。
- 入居の難しさ
- 少人数のため空室の時期が限られます。共同生活への適応、認知症の症状、医療対応も確認。重度になった後も住めるかはホームごとに違います。
制度:厚労省・特養/老健/介護医療院/認知症グループホーム。
介護が軽く、費用も心配。ケアハウス・養護老人ホームは?
ケアハウスは、原則60歳以上の方に食事や生活支援を提供する軽費老人ホームの一つ。一般型と介護の提供体制を備えたものがあり、重い介護が必要になった後の対応も異なります。所得に応じた負担の仕組みがある一方、空室・自立の程度・契約条件を確かめる必要があります。
養護老人ホームは、原則65歳以上で、家庭環境や経済的な理由から自宅での生活が難しい方について、自治体が入所の必要性を判断する仕組みです。「年金が少なければ自由に選んで入れるホーム」ではありません。本人等の収入に応じた費用負担もあり、自治体の高齢者福祉の窓口に相談します。
04 親のお金と、子どもの家計結局、毎月いくらを用意する?
ガル太介護保険が1割なら、月15万円のホームは1万5千円で住めるの?
おカン家賃やご飯まで1割、という話ではなさそうね。
1割になるのは、保険が適用される介護サービスの部分です。住まい・食事・医療などを足して、月に払う総額を見ます。
65歳以上の方の介護保険の自己負担は、所得に応じて1〜3割。ここからの金額は、1割負担の場合の例です。
特養でも、相部屋と個室では月額が違う。
厚労省の公開モデル。要介護5・1割負担・30日・食費等の軽減なし、日常生活費を月1万円とした例です。個別の施設の見積額ではありません。
多床室(相部屋)の例
約11.0万円/月- 介護の自己負担:26,130円
- 居住費:27,450円
- 食費:46,350円
- 日常生活費:10,000円
ユニット型個室の例
約14.7万円/月- 介護の自己負担:28,650円
- 居住費:61,980円
- 食費:46,350円
- 日常生活費:10,000円
食費は2026年8月からの基準費用額、1日1,545円を反映した例です。実際は地域区分や介護の加算、食費・居住費の契約額、医療費などで変わります。日常生活費1万円も国のモデル上の想定です。
厚労省・月額モデルと負担軽減/愛知県・2026年8月の食費改定。
サ高住は、住居費の表示から総額を確かめる。
春日井市の「あいゆうの森」の公式サイトには、1割負担の請求実績に基づく例として、要介護1で月約21.7万円、要介護3で約24.6万円、要介護5で約25.2万円が掲載されています。住居・生活支援等の利用料に、福祉用具や訪問・通所等の費用を加えた例です。
これは同じ住宅でサービスの組み合わせが違う3例で、サ高住全体の相場や介護度ごとの定額ではありません。料金は契約時に確認が必要で、医療費なども別に見積もります。特養の国のモデルとも条件が違うので、金額だけで優劣は付けられません。
2026年11月2日に確認した公表例。運営法人・あいゆうの森の料金例。
見積もりは、この4つに分けてもらう。
- 最初に払うお金:入居一時金・敷金・保証料等。退去時の返金や精算方法まで聞く。
- 毎月ほぼ固定のお金:家賃・管理費・生活支援費・食費など。欠食や入院中の扱いも確認。
- 使うと増えるお金:介護の自己負担、保険外の支援、医療、通院付き添い、日用品等。今と介護が増えた後の2通りを作ってもらう。
- 親の年金・貯金と、子どもが補う額:親自身のお金で続けられる範囲を先に確認。配偶者が自宅で暮らす場合、その生活費も残して考える。
おむつ代の扱いも種類で違います。特養・老健・介護医療院や介護保険の短期入所では、原則として介護サービス費に含まれます。有料老人ホーム等では別途費用となる場合があります。愛知県・利用料ガイドライン。
お金が心配なら、軽減制度も先に聞く。
特養・老健・介護医療院やショートステイの食費・居住費は、所得・預貯金等の要件に合えば「負担限度額認定」で軽減されます。本人の年金額だけで決まらず、世帯や配偶者、資産等の確認と申請が必要です。有料老人ホーム・サ高住・グループホームの家賃や食費には、通常この制度は使えません。
介護サービスの自己負担には「高額介護サービス費」もありますが、家賃・食費等まで含めた総額に一律の上限が付く制度ではありません。見積もりを持って、親の介護保険の窓口で確認しましょう。
05 人気と空きだけでは決まらない条件に合っても、すぐ入れるとは限らない。
- 特養
- 愛知県の標準指針では、介護の必要性や家族等の状況を踏まえて優先順位を判断します。「何番目だから何か月待ち」とは決まりません。親や介護する家族の状態が変わったら、申込先にも伝えます。
- 民間のホーム・サ高住
- 予算・空室・受入条件が合えば検討を進めやすい一方、安い部屋、夫婦部屋、医療対応などの希望を重ねるほど候補は絞られます。高い費用を払えば必ず入れるわけでもありません。
- 認知症グループホーム
- 住民要件と少人数の空室、症状や医療対応の確認が必要です。市外に住む親を子の近くに呼ぶ場合は、転居や申込みの前に対象となるか確認します。
- 老健・介護医療院
- 空き状況に加えて、リハビリ・療養の必要性と病状の確認があります。退院まで時間がない場合は、病院の担当者と候補・待つ間の支援を早めに相談します。
愛知県・特養の標準入所指針/高齢者向け施設の利用案内。空室や待機の見通しは、本人の状態を伝えて各施設に確認してください。
06 候補を見つけたら「うちの親」は入れる?
介護が重くなっても住み続けられる?
最初は、親の住所を担当する地域包括支援センターへ。担当のケアマネジャーがいればその方へ、入院中なら病院の退院支援担当者・医療相談員へ。介護度がまだ分からなくても、困っている場面から話せます。
- 親の状態:移動・食事・トイレ・入浴・夜間に、どんな介助が必要か。認知症の症状や医療処置はあるか。
- 家族ができること:訪問できる回数、通院の付き添い、急な呼び出し。難しいことも遠慮なく伝える。
- 予算と期限:初期費用、毎月の上限、いつまでに必要か。特養を待つなら、それまでの支援も相談する。
- 状態が変わったとき:介護が重くなっても住めるか。入院時の費用・退去条件、夜間の看護、看取りへの対応はどうか。
ガル太親に合うところを探すって、施設の名前を選ぶことだけじゃないんだね。
おカンここなら暮らせそう、って私が思えるかも大事よ。見学には連れていってね。
親の暮らしを支えたい。でも、子どもの家計も仕事もある。その条件を隠さず相談していいと思います。私も、そこから考えていきたいです。
通う支援を増やして自宅を続けるのか、数日泊まって家族が休むのか、住まいを変えるのか。いきなり最後の住まいを決めなくても、いま必要な支えから始め、状態が変われば相談し直すことができます。
制度・料金の確認について
確認:2026年11月2日。制度の主な根拠は、厚生労働省の介護サービス情報公表システム、国土交通省のサ高住案内、愛知県の施設案内・入所指針・利用料ガイドラインです。年齢・認定区分は主な対象の整理で、例外や施設独自の受入条件もあります。
特養の金額は厚労省の30日モデルを万円単位に丸めたもの。地域区分・加算等を反映した個別見積もりではありません。民間住宅の金額は確認時に公開されていた一法人の例で、地域や施設類型の平均ではありません。空室・待機期間・最新料金は各施設へ確認してください。
厚労省・サービスの利用料と軽減制度愛知県・2026年8月の食費改定

