相談25|市街化調整区域の土地、売れる?(春日井市・50代女性)

十年以上、駐車場として貸していた土地。借りていた方が退去することになり、これを機に売れないだろうか。
春日井市の50代の女性からのご相談でした。広さは約120坪。市街化調整区域にあり、登記上の地目は畑です。
長く駐車場に使っていたからといって、普通の住宅用地として売れるわけではありません。今回は、一度は購入の話がなくなり、その後、別の使い方をする買主に売却できた土地のお話です。
借主が退去。土地を売りたい
土地を貸している間は、使う人がいて、賃料も入ります。借主がいなくなると、同じ土地でも、これからどうするかを考えることになります。
今回の方は、また貸すより、売却できないかと考えておられました。
約120坪ありますから、広さだけを見れば、いろいろな使い方ができそうです。ただ、この土地では、住宅を建てて使うための条件が整っていませんでした。
市街化調整区域は、市街化を抑える区域です。一定の条件を満たして建物を建てられる場合もありますが、買った人が好きな建物を建てられる土地ではありません。
家を建てるために土地を探している方には、紹介しにくい。そうすると、住宅用地と同じように買主を探し、同じような価格で売る、という話にはなりません。
この土地を買って、何に使えるのか。そこから確かめていきました。
駐車場に使っていても、地目は畑
現地で車が停まっていると、駐車場として自由に使える土地のように見えます。でも、登記上の地目は畑でした。
農地を駐車場などに転用する場合、市街化調整区域では許可が必要です。これまで使っていた様子だけで、次の人も同じように使えると判断はできません。
今回も、買主がどんな使い方をするのかに合わせて、必要な許可を確かめることになりました。
建物を建てるなら、その建物の用途で建築や開発の条件を満たせるか。農地を別の用途に変えるなら、農地転用の許可を受けられるか。別々の確認が必要になることがあります。
土地が広いことと、使えることは、別なんです。
整備工場の話は、許可が下りなかった
最初に購入の申し込みがあったのは、自動車整備業者でした。整備工場を建てて使いたい、という話です。
買いたい方が見つかり、話は進みました。ただ、最終的に役所の許可が下りず、この売却はまとまりませんでした。
売主が売りたい。買主も買いたい。値段の話ができても、それだけでは進められないのが、こういう土地の難しいところです。
整備工場にしたいという希望があっても、その場所で、その計画を実現できなければ、買主にとっては使えない土地になってしまう。
土地の売却では、買主を見つけることに目が向きます。今回のような土地では、見つかった買主が予定している使い方まで、確かめなければなりません。
整備工場の話はなくなりましたが、その用途で許可が下りなかったことと、土地そのものが一切売れないことは、同じではありません。別の用途で使う方を、引き続き探しました。
トラックの駐車場として、売却できた
その後、近隣の運送会社から、トラックの駐車場として使いたいという話がありました。
整備工場とは、使い方が違います。今回はこちらの用途で農地転用の許可を取得でき、所有権の移転まで進みました。
住宅を建てるための土地としては売りにくくても、近くでトラックを停める場所が必要な会社には、使い道がありました。
事業用の駐車場なら、広さだけで決まるわけでもありません。一般には、車が道路から出入りできるか、敷地の中で無理なく動けるか、会社の拠点から離れすぎていないか、といったことも関わります。
売主にとっては、借主が退去する土地。買主にとっては、仕事で使う車を停める場所。それぞれの事情が、この使い方で合いました。
買う人の使い道によって、売却の見通しも変わる
同じ土地でも、整備工場の計画では進められず、トラックの駐車場としては売却できました。
だから、市街化調整区域というだけで、売れる、売れないを一括りにはできません。住宅を建てられる条件があるのか。建物を建てずに使う需要があるのか。その用途で必要な許可を受けられるのか。
売却の相談では、所在地や広さに加えて、登記の地目、今の使い方、これまでの許可に関する資料があれば、確認の手がかりになります。資料が揃っていない場合は、分かるところから調べます。
今回は、最初の買主との話がなくなった後、近隣の運送会社に売却できました。十年以上貸していた駐車場は、その会社がトラックを停める土地として引き継ぐことになりました。
※実際の相談をもとに、一般的な確認事項を交えて再編集しています。建築や農地転用の可否は、土地と利用計画ごとに確認が必要です。
春日井シティ不動産株式会社
代表 山本直嗣
