不動産購入

【新築戸建を購入した300人に聞きました】住宅購入のプロセス&マインド2020

山本 直嗣

実際に家を買った人から学ぶ「新築一戸建て」探しのヒント

不動産広告会社のアットホームさんが2020年7月におこなった住宅購入におけるユーザー動向調査のデータが興味深い。

2018年6月から2020年7月までに住宅を購入した21歳~49歳の男女が対象のアンケートですが、一般の方が住宅を購入に至るまでにどういうことを気にして家探しをしたのかがよくわかります。

前回は、第1弾として、「中古マンション」を買われた300人のアンケート結果を検証してみました。

第2弾となる今回は、「新築戸建て」を取り上げます。

新築一戸建に住みたい

第1弾の中古マンションと同様ですが、

「1.住まい探しのきっかけ」「2.探し始めて契約までにかかった期間」「3.他に検討した住宅のタイプ」「4.住まい探しで重視したこと」「5.途中で妥協したこと」「6.重視すればよかったこと」「7.重視した仕様・設備」「8.途中で妥協した仕様・設備」「9.重視すればよかった仕様・設備」

なお、今回のアンケートデータはすべて、アットホームさんの「ユーザー動向調査住宅購入のプロセス&マインド2020」を引用させていただいています。

1-1.住まい探しのきっかけ

現在の住まい(新築一戸建)を探し始めたきっかけは何ですか?(複数回答)※上位10項目を表示

  1. 子どもができた・生まれたから(23.8%)
  2. 家賃を支払うことが嫌になったから(23.3%)
  3. 前の住まいに不満があったから(21.8%)
  4. 生活環境・ライフスタイルを変えたかったから(18.9%)
  5. ローン返済や収入条件など購入できる年齢の限界が迫っていたから(18.7%)
  6. 金利が安いうちに買いたかったから(18.0%)
  7. 子どもの教育環境(幼稚園・小学校・中学校・高校)が決まったから(17.5%)
  8. お買い得な状況だと思ったから(13.7%)
  9. 子どもが部屋を必要とする年齢になったから(12.2%)
  10. 結婚・婚約したから(11.3%)

新築一戸建てを探すきっかけの1位は「子どもが生まれた」でした。7位に「子どもの学校の都合」、9位に「子ども部屋が必要になった」、10位に「結婚・婚約した」という家族やこどもの状況による理由が多くなっています。2位の「家賃を払うのがもったいない」、3位の「前の住まいに不満があった」というのは、中古マンションでも中古一戸建でも上位にはいるきっかけとなっています。

1-2.探し始めてから契約までにかかった期間

新築一戸建を探し始めてから(物件情報を検索したり雑誌を購入したいなど)契約するまでにかかった期間をお選びください。

  1. 6カ月程度(25.9%)
  2. 3カ月程度(23.9%)
  3. 1年程度(22.1%)
  4. 2年程度(12.7%)
  5. 1か月以内(5.8%)
  6. 3年程度(3.6%)
  7. 5年以上(2.9%)
  8. 4年程度(1.7%)
  9. 5年程度(1.5%)

中古マンションや中古建ての場合は、探し始めてから3ヶ月程度で購入された方が1番多いのですが、新築戸建ては6か月程度が1番多くなっています。中古マンションや中古戸建に比べると少し長くなっていますが、それでも、半年以内(1ヶ月、3カ月、6カ月)に買われてる方は55.6%いて多数派になります。「1年程度」を含めると、77%の方が探し始めてから1年以内に購入されています。

1-3.ほかに検討した住宅タイプ

新築一戸建の購入検討時に並行して検討(物件情報を検索したり調べたり)した住宅タイプがあれば教えてください。(複数回答)

A.新築一戸建(建売住宅)
B.新築一戸建(注文住宅)
  1. 新築マンション(34.2%)
  2. 他には検討していない(31.9%)
  3. 中古一戸建(31.4%)
  4. 新築一戸建(注文住宅)(26.8%)
  5. 中古マンション(20.6%)
  6. 賃貸住宅(3.8%)
  7. その他(0.3%
  1. 他には検討していない(61.1%)
  2. 新築一戸建(建売住宅)(28.8%)
  3. 新築マンション(14.5%)
  4. 中古一戸建(14.0%)
  5. 中古マンション(5.6%)
  6. 賃貸住宅(3.3%)
  7. その他(0.8%

新築一戸建てをお探しの方の中でも、建売住宅と注文住宅とで回答がかなり違っているのは興味深いです。注文住宅は断トツで他は検討していない人が多く、注文住宅へのこだわり、理想の住まいづくりの意欲が見てとれます。建売住宅をお探しの方は、新築マンションと並行して検討したという人も多かったようで、個人的には意外でしたが、春日井でいえば、新築建売と新築マンションは2千万円台~3千万円台と同価格帯の物件も多いので並行で探した人がいても不思議ではないかもしれません。それでも他は検討していないという人もほぼ同数いますので、やはり戸建へのこだわりは強い傾向があると思います。

1-4.最初から最後まで変わらずに重視したこと

価格以外で、現在の住まいを探した際、最初から最後まで変わらずに重視したことは何ですか?(複数回答)

  1. 部屋の広さや間取り(55.9%)
  2. 日当りの良さ(42.7%)
  3. キッチンのタイプ(対面式キッチンなど)(36.9%)
  4. 通勤・通学の利便性(36.8%)
  5. 駐車場(33.3%)
  6. 街の治安・雰囲気(32.4%)
  7. リビングの広さ(31.8%)
  8. 収納量(27.8%)
  9. 耐震・耐火など防災性能が優れていること(26.9%)
  10. 断熱性能が優れていること(26.0%)
  11. 騒音が少ない・周りが静か(25.3%)
  12. キッチンの広さ(23.7%)
  13. 最寄駅から自宅までの距離(23.1%)
  14. 実家までの距離(21.9%)
  15. 内装のデザイン(21.3%)
  16. 階建て(21.2%)
  17. 風通しの良さ(21.2%)
  18. 地盤の固さ・浸水の危険性(21.0%)
  19. 最寄駅・利用路線の利便性(20.7%)
  20. 敷地面積(19.8%)
  21. 周辺の商業施設の充実度(19.3%)
  22. ふろ場の広さ(18.4%)
  23. 建物の工法・構造(18.1%)
  24. 建物外観のデザイン(17.8%)
  25. 築年(16.2%)
  26. 周辺の自然環境(15.4%)
  27. ふろ場に窓があること(15.4%)
  28. 周辺の歩道の広さ・整備(14.5%)
  29. バルコニー・庭の広さ(14.1%)
  30. 保育施設の多さ・近隣学校の評判(14.0%)
  31. 住宅メーカー・デベロッパー・販売会社のブランド(12.7%)
  32. 和室(12.3%)
  33. トイレに窓があること(11.4%)
  34. 駐輪場・バイク置き場(10.6%)
  35. 防音性能が優れていること(9.6%)
  36. 防風・防雨機能・ひさしなど(8.5%)
  37. 天井の高さ(7.4%)
  38. 眺望(6.8%)
  39. ゴミ出しの場所・時間(6.8%)
  40. バリアフリー(6.7%)
  41. 医療・介護施設の近さ(6.7%)
  42. トイレの広さ(6.2%)
  43. 地縁(5.7%)
  44. コミュニティ(町内会・自治会など近所のお付き合い)(5.7%)
  45. 地域ブランド(5.3%)
  46. 行政サービスの内容(5.2%)
  47. 幹線道路や高速ICの近さ(4.7%)
  48. 二世帯向き(4.4%)
  49. 管理サービス・ソフトサービス・共用施設の充実度(4.2%)
  50. その他(1.3%)
  51. 特にない(1.4%)

前回の中古マンションとは重視されている優先順位はかなり違っています。お部屋の広さや間取りが1位というのは同じですが、立地が命のマンションに比べて、住み心地や住宅の性能を重要視されている傾向があります。例えば、中古マンションで39位だった「断熱性能が優れている」が、新築一戸建で10位になっていたり、中古マンションで3位だった「最寄駅から自宅までの距離」が、新築一戸建では13位になっていたりします。ただ注文住宅に比べて建売住宅は間取りや設備の選択の余地が少ないため、マンションに近い選択もかなりあるのではないかと思います。

1-5.途中で妥協したこと

価格以外で、途中で妥協したことは何ですか?(複数回答)※上位10項目を表示

  1. 部屋の広さや間取り(23.1%)
  2. 収納量(11.2%)
  3. 最寄駅から自宅までの距離(11.0%)
  4. 内装のデザイン(9.6%)
  5. リビングの広さ(9.1%)
  6. 日当りの良さ(8.9%)
  7. 建物外観のデザイン(8.8%)
  8. 最寄り駅・利用路線の利便性(8.3%)
  9. 眺望(8.2%)
  10. バルコニー・庭の広さ(7.8%)

中古マンションを探すのと同様に、新築戸建て探しにおいても、理想を全部叶えるというのは現実的にはむずかしいので、理想通りの物件が見つからなければなにかしら妥協する選択に迫られることが多々あります。ただし、ある程度間取りや設備が決まっている中古マンションに比べれば、新築戸建ての方が選択肢が多いですし、注文住宅であれば予算と土地による制限はありますが、自分の好みに近い住宅が建てられる可能性は高いと言えるでしょう。この調査には土地探しの項目が省かれていますが、土地探しの方が難しいかもしれません。

1-6.重視すればよかったこと

実際に住んでみて、もっと重視すれば良かったと思うことは何ですか?(複数回答)※上位10項目を表示

  1. 部屋の広さや間取り(19.7%)
  2. 収納量(13.6%)
  3. リビングの広さ(11.4%)
  4. 駐車場(9.2%)
  5. バルコニー・庭の広さ(8.4%)
  6. 内装のデザイン(8.2%)
  7. 風通しの良さ(8.2%)
  8. 日当りの良さ(7.9%)
  9. 防音・防雨機能・ひさしなど(7.4%)
  10. 防音性能が優れていること(7.4%)

中古マンションのときも言いましたが、ある意味これは家を買われた方が、後悔しているポイントになるので、これから一戸建探しをされる方は参考にしていただくといいと思います。新築一戸建ては中古マンション以上に自分で選択できる項目が多いので、余計にここで重視したいと思った項目は妥協してはいけないと思います。とは言え、実際は住んでみないとわからないこともたくさんあります。後悔するのはやはり毎日の生活の中で不便を感じるような項目が多いので、収納が少ないとか、部屋の大きさや日当たりなど、居心地は重視したいですね。

1-7.最初から最後まで変わらずに重視した仕様・設備

現在の住まいを探した際、最初から最後まで変わらずに重視した仕様・設備は何ですか?(複数回答)

  1. シューズインクローゼット・大きい靴箱(29.2%)
  2. トイレ2カ所(25.3%)
  3. ウォークインクローゼット(23.6%)
  4. 食器(洗浄)乾燥機(22.3%)
  5. カウンターキッチン(21.1%)
  6. 電気コンロ・IHコンロ(20.4%)
  7. 浴室乾燥機脳・浴室暖房(18.2%)
  8. オール電化(18.2%)
  9. 温水洗浄便座(17.7%)
  10. 24時間換気機能(17.6%)
  11. 追い炊き機能機能付バス(16.8%)
  12. 3口以上コンロ(14.7%)
  13. 太陽光発電・家庭用蓄電池(12.3%)
  14. タンクレストイレ(12.2%)
  15. 人感センサー照明(12.2%)
  16. バス1坪以上(11.8%)
  17. 高気密・高断熱サッシュ(11.5%)
  18. 二重施錠(11.4%)
  19. シャワー付洗面台(10.4%)
  20. 省エネ給湯器(10.1%)
  21. 床暖房(10.1%)
  22. ダウンライト(10.0%)
  23. トイレ内手洗い(8.1%)
  24. 浄水器(8.0%)
  25. 床下収納・天井裏収納(7.9%)
  26. バルコニーコンセント(7.7%)
  27. 宅配ロッカー(7.6%)
  28. 複層ガラス窓(7.1%)
  29. アイランドキッチン(6.7%)
  30. 書斎(6.7%)
  31. 押入れ(6.5%)
  32. 高速インターネット回線(6.3%)
  33. 保温機能付きバス(5.3%)
  34. バルコニー水道蛇口(5.0%)
  35. スマートフォンによる家電制御システム(スマートホーム)(3.1%)
  36. 自家発電機能・コージェネレーションシステム(2.6%)
  37. 使用電力の可視化機能(2.5%)
  38. テレビ付浴室(1.9%)
  39. コンベック・オーブン(1.8%)
  40. スロップシンク(1.7%)
  41. ディスポーザー(1.5%)
  42. 携帯電話用電波強化システム(0.0%)
  43. その他(0.6%)
  44. 特にない(12.9%)

この項目のアンケートも中古マンションとは大きく違いが出ました。マンションでは39位だった「トイレ2か所」は新築戸建てでは2位でした。また1位と3位はシューズクローゼット、ウォークインクロゼットとたっぷりの収納を重視されている方が多かったです。仕様設備についても住んでみないとわからないこともありますが、リフォーム等で改善できることも多いですし、なかったらないで慣れてしまいやすいです。

1-8.途中で妥協した仕様・設備

途中で妥協した仕様・設備は何ですか?(複数回答)※上位10項目を表示

  1. 宅配ロッカー(10.3%)
  2. 床暖房(10.2%)
  3. シューズインクローゼット・大きい靴箱(9.9%)
  4. タンクレストイレ(8.4%)
  5. ウォークインクローゼット(5.4%)
  6. オール電化(5.3%)
  7. 食器(洗浄)乾燥機(5.2%)
  8. 人感センサー照明(5.2%)
  9. 太陽光発電・家庭用蓄電池(5.2%)
  10. トイレ内手洗い(4.8%)

1-9.重視すれば良かった仕様・設備

実際に住んでみて、もっと重視すれば良かったと思う仕様・設備は何ですか?(複数回答)※上位10項目を表示

  1. 宅配ロッカー(11.6%)
  2. シューズインクローゼット・大きい靴箱(9.7%)
  3. ウォークインクローゼット(8.0%)
  4. 人感センサー照明(7.4%)
  5. 床暖房(5.9%)
  6. バルコニー水道蛇口(5.1%)
  7. トイレ内手洗い(4.9%)
  8. 押入れ(4.7%)
  9. 高気密・高断熱サッシュ(4.4%)
  10. タンクレストイレ(4.3%)

購入した新築一戸建ての満足度とその理由

購入した新築一戸建ての満足度を【0~100点】で教えてください。

  1. 80-99点(64.2%)
  2. 60-79点(17.6%)
  3. 100点(11.1%)
  4. 40-59点(3.2%)
  5. 20未満点(3.8%)
  6. 20ー39点(0.1%)

★購入した新築一戸建ての満足度の平均点は79.8点でした。

購入した住宅の満足度の理由については、満足した理由として、評判の良いハウスメーカーだったとか環境がとてもよかった、自分の理想の間取りや設備の家ができたなどの意見があったようです。不満だった理由としては、意外と狭かった、間取りが気に入らないところがある、壁紙の施工がよくない、床が傷つきやすいなどが理由に上がっています。

今回は注文住宅と建売住宅はセットで新築一戸建てのカテゴリーになっていますが、すべて自分で間取りや使用や設備を決められる注文住宅と分譲業者が設計した建売住宅では今回のアンケート調査の結果や満足度は違ってくるとは思います。それでもおおむね満足度は高いです。購入した新築一戸建ての満足度の結果としては、満足度80点以上が75%以上、そのうち100点満点が11%もいます。平均点は、中古マンション、中古一戸建と比べても一番高くなっています。

余談ですが、私が個人的に注文住宅を建てた後で、不便を感じるのはコンセントの位置が少なかったりする場所です。ここにコンセントつけとば例えば掃除機とかパソコンとか電気製品をつなぐのに便利だったなと思うところが2、3か所あります。実際に住んでみないとわからないことは結構ありますね。今回のアットホームさんのユーザー動向調査は、実際にマイホームを購入した方のアンケート結果ですので、これから家探しをされる方にはとても参考になると思います。買ったあとで後悔しないように、妥協してもいいところと絶対妥協してはいけないところを間違えないように、家族との意見調整も大切にして楽しい家探しをしていただければと思います。

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