【不動産売買の手付金】契約時に手付金は1割用意しないといけない?
契約時の手付金はいくら払えばいいのか
買主が不動産を購入するとき、売買契約のときに売主に手付金を支払います。さてその手付金はいくら用意すればいいの?必ず売買金額の1割を用意しないといけないのか?あるいは少額の手付金で契約することも可能なのか?
今回の記事では、土地や戸建てやマンションを購入するときの手付金についてお伝えします。
手付金とは?
手付金は売買契約のときに支払う
手付金というのは売買契約を締結した証として買主が売主に支払うお金ですが、手付金額としては売買代金の1割が一般的な相場です。通常は、売主買主双方が売買契約書に署名捺印をし、且つ手付金を授受することで売買契約成立という運びとなります。
手付金は売買代金の一部に充当
手付金は売買代金の一部に充当されるので、売買代金から手付金を引いた残代金は引渡期日までに売主に支払います。ちなみに所有権は売買代金全額を支払ったときに買主のものになるので、手付金は支払う契約時には所有権はまだ売主のままです。
手付金の法律的な意味と効果
手付金には「証約手付」「解約手付」「違約手付」という法的な意味合いがあります。
証約手付(しょうやくてつけ)
「証約手付」というのは、先に記載した通り売買契約を締結したという証拠としての意味合いを持ちます。
解約手付(かいやくてつけ)
「解約手付」というのは、売買契約後も一定期間内においては、手付金相当額を放棄すれば売買契約を解除できる権利をもつという意味合いになります。買主は売主に支払った手付金を放棄すれば、売主は買主から預かっている手付金プラスさらに手付金と同額を上乗せして買主に支払う、いわゆる手付倍返しすれば、契約を解除できることになっています。
違約手付(いやくてつけ)
「違約手付」はもし売主買主どちらかの債務不履行などの違反で契約解除になったときに手付金は違約金としてペナルティで没収されるお金になってしまうという意味合いを持ちます。
このように手付金というのは売買契約時に授受することで3つの法律的な意味を持つことになります。
契約成立したら簡単にキャンセルできない
契約してからやっぱり気が変わったのでキャンセルしたいというのは通用しません。契約成立の証でもある手付金は勝手な自己都合で返してもらえない。ただし売買契約時に特約を附すことにより、例えば銀行ローンが借りられなかった場合や建築に必要な行政の許可が下りないなどの場合、契約解除して手付金が返還されるとする場合もあります。いずれにしてもいったん契約をすれば簡単にキャンセルできないことに変わりありません。
手付金を払う=重要な契約行為
「手付金」というのは、ローン以外に投入する自己資金としての意味合いの「頭金」という言葉以上に重要な法的な役割を持つお金として取り扱われるので注意してください。
手付金額の決まりはないが1割が多い
じつは手付金の額に明確な決まりはありません。売主と買主が合意できればいくらでもいいのです。ただ慣例というか一般的には売買金額の1割を手付金額とするケースが多い。売買代金2000万円の土地なら手付金200万円という具合です。
手付金1割未満で契約することもある
しかし契約の時に1割の手付金を用意できないという買主も少なくはありません。自己資金がなくて100%住宅ローンで購入資金をまかなうとか、手持ちの現金は諸費用に回したいとかいろいろなケースがあります。そういう事情によっては手付金を少なくして売買契約することも多々あります。売買金額の5%とか、50万とか100万円とか、売買金額にもよりますが、売主に合意してもらえるのであれば、手付金が少なくても売買契約は可能です。
手付金は少なすぎても多すぎても問題点はある
手付金の法律的な意味を考えると、あまりに少なすぎるのも心配な点があります。
簡単に手付解除されるリスク
手付解約は売主買主双方の権利なので、売買契約後でも一定の期間内であれば、手付金相当額を放棄して相手方に支払えば、理由を問わず売買契約を解除することも可能です。例えば5万とか10万とか極端に少ない手付金で契約をしてしまうと、相手都合の手付解除でかんたんに契約を反故にされてしまう可能性もあるわけです。手付解除はお互いに認められた権利ですからそれでキャンセルされても文句も言えません。
売主業者は手付金額の上限20%制限がある
また、買主が一般個人で、売主が不動産業者の場合は、宅建業法により手付金の上限等が定めてあります。例えば5割の手付金とか、買主が支払うことを合意したとしても、消費者保護の観点から多すぎる手付金を業者が受け取ることが禁止されています。売主業者の場合は上限として20%という手付金額の制限があります。
100%住宅ローンを組む場合でも、手付金は現金で用意すべし
ちなみに、購入資金を100%ローンでまかなう場合でも、銀行からローン融資金が支払われるのは、契約時ではなく残金決済時なので、契約時の手付金は先に現金で用意する必要があります。
例えば、売買代金2000万円の中古マンション売買があったとして、買主が契約時に手付金100万円・決済時に残代金1900万を売主に支払う条件にしたとします。その場合、買主が銀行に2000万を住宅ローンで借りるとしても、その2000万のお金が手元に入るのは決済時。なので、契約時の手付金100万は先に現金で用意して売主に支払う必要があるということです。
決済時一括で2000万融資が実行され、そのうち残代金1900万を支払い、手元に100万残る形にはなります。
まとめ
結論としては、一般的な不動産の売買においては手付金の金額については、買主と売主の合意によって決めるものですが目安としては売買金額の1割と考えておけば間違いないでしょう。もし、買主の事情で、1割の手付金を用意できない、手付金を少なくしたい。そういうときは、担当の不動産業者さんに相談してみましょう。1割より少ない手付金でも契約を進めてくれるケースは多いですよ。